【漫画】『百億の昼と千億の夜』 萩尾望都
2007.03.17(Sat)
われわれの―― ――存在の意味とは?
光瀬 竜著 / 萩尾 望都著
秋田書店 (1994.4)
通常2-3日以内に発送します。
秋田書店 (1994.4)
通常2-3日以内に発送します。
この漫画より先に原作となっている同名小説を読んだのですが、
その時の衝撃は今でも忘れられません。
当時中学生でしたが、
キリストや仏陀など「神様」「仏様」と素直に信じていた存在が、
更なる超越者の手駒だった―という設定には意表を付かれたと同時に、
子供心に何も疑うことなく信じていた“世界”というものが、
音を立てて崩れていくような感覚に襲われました。
こういう考え方があるのかと相当なショックを受けたものでした。
そんな作品を萩尾望都が漫画化したのがこの本です。
絵と少ない文字数で表さないといけない以上、
原作をシンプルかつコンパクトにしたという感じ。
でも逆に絵になっているからこそ原作よりも分かりやすい部分もあり、
あの壮大な原作の世界をここまで描くことが出来ているということに、
改めて感服しました。
原作を元に、新たな作品を創り上げています。
神とは、人間の存在とは、この世界とは何なのか―。
遠い昔から誰もが疑問を抱いてきたこの問いかけの答えを、
あなたも考えてみませんか。
原作小説です。ぜひとも読んで頂きたい素晴らしい作品です。
【漫画】『トーマの心臓』 萩尾望都
2007.02.25(Sun)
これがぼくの愛 ぼくの心臓の音 きみにはわかっているはず
![]() | トーマの心臓 萩尾 望都 (1995/08) 小学館 この商品の詳細を見る |
ドイツの地方都市にあるギムナジウム(中高一貫校)。
この全寮制の男子校で生徒達のアイドルだった少年、トーマが自殺する。
遺書を受け取ったのは真面目なクラス委員長ユリスモール。
その内容を理解出来ずに、動揺する彼を見詰める同室のオスカー。
そんな中やって来た転校生エーリクは、トーマと瓜二つの少年だった―。
物語はいきなり美少年の自殺シーンから始まり、
訳の分からないまま読み始めると今度は遺書。
これも意味が分からない―、というつかみの巧さで話に引き込まれます。
その後なぜトーマは死んだのか、
ということをユリスモールが真に理解するまでの話となっています。
テーマは「愛」と「赦し」。
トーマとユリスモールの関係性だけでなく、
同学年ながら一つ年上で大人っぽいオスカーと、
天真爛漫なはねっかえりエーリクのそれぞれの過去と背景も絡めて、
話は描かれていきます。
しんとした宗教画のような物語。
初めて読んだ時は全く理解出来ませんでした。
一度読んで分からなかった漫画というのはこの作品が初めてで、
当時はかなり衝撃を受けました。
その後何度読み返したことか。
今この年齢になって、やっと理解出来たと思えるようになっています。
愛するということ、赦すということ―。
【漫画】『伝染(うつ)るんです。』 吉田戦車
2007.02.19(Mon)
「…ごめん」「何が“ごめん”なんだーーーー」(飛行中機内)![]() | 伝染(うつ)るんです。 (1) 吉田 戦車 (1998/11) 小学館 この商品の詳細を見る |
“不条理漫画”として知られる作品です。
ストーリーものではなく、内容の違う短編が続きますが、
同じキャラが何度か繰り返し登場したりもします。
中盤からは表紙になっている有名なかわうそくんが初登場してきます。
でもこの第1巻ではまだ手探り状態という印象。
お決まりのネタが出来るまで、
様々なアイディアのものを描いて載せている、という感じです。
不条理というよりは、
作者の視点の新鮮さというのか、面白さということの方が強いですね。
この巻で気に入っているのは、冒頭に挙げた“飛行機ネタ”。
こんな飛行機、乗り合わせたくない…。
その後巻が進むにつれて、
各キャラクターの性格が決まってきたり、
固定ネタが増えてくるなど、こなれてきます。
![]() | 伝染(うつ)るんです。 (2) 吉田 戦車 by G-Tools |
現在通院中の歯科医院にこのシリーズが置いてあります。
歯の治療は早く終えたいけれど、全巻読み切りたい…。むう。
【漫画】『ロストハウス』 大島弓子
2007.02.18(Sun)
「ああ 彼はついに 全世界を 部屋にして そして そのドアを 開け放ったのだ」1993〜1995年にかけて、
『月刊ヤングロゼ』に掲載された5作品が収録されている。
『青い 固い 渋い』は、
ナチュラルライフに憧れて、東京から地方に移住した若いカップルの話。
なかなか住民として認められなかったり、
無農薬自家栽培がとても大変だったりと、
描いていた理想と現実のギャップに悩む主人公の女性心理がリアル。
『8月に生まれる子供』は、
突然急速に老化する病気になってしまった女子大生の話。
この2作品とも、時代を先読みしていて、
作者の目の付け所が凄いなと思わされた。
『クレイジー ガーデン PART1』
『クレイジー ガーデン PART2』は、
地方から上京してきた女の子がアイドルになる話。
こちらはいささか散漫になってしまったという印象。
最も良かったのが、タイトルにもなっている、
『ロストハウス』。
きっちりとした家庭で育ち、
知らず自分の小さな世界に閉じこもってしまっている女子大生が、
その小さな世界から飛び出すまでの話。
十代の頃の、自分中心の世界が崩れて、
新たな世界が広がっているのだということを認識した時のことを思い出してしまった。
大人になる、という感覚というのかな。
この作品も現在を見越したような内容で、
改めて作者の視点の鋭さに唸らされてしまった。
可愛い絵柄の影に鋭い視点が隠されているのが大島弓子。
現在はどうしているのだろう。
新たな作品を読みたい。
【漫画】『11人いる!』 萩尾望都
2007.02.16(Fri)
「一人多いぞ 十一人いる!」![]() | 11人いる! 萩尾 望都 (1994/11) 小学館 この商品の詳細を見る |
宇宙大学入学試験第二次選考に残った10名の若者達は、
最終テストを受けることになる。
テスト会場は宇宙船。53日間を無事に過ごせば合格となる。
意気揚々と乗り込んだ彼らだが、すぐに異変に気が付いた。
10人のはずなのに、11人いる!―。
テストはうまくいくのか、ということを本筋に、
11人目は誰なのか、目的は何なのか、というミステリー風味と、
出身星が違う11名の若者達がどうコミュニケーションをとっていくのか、
という青春物語に、
主人公ふたりのラブコメも絡んで、とても魅力的な作品になっている。
最も惹かれたのは11人目が誰なのかということよりも、
育った環境が全く違う若者達の物語というところ。
それぞれの環境の設定もうまいし、
違った惑星に育ちながらも似たような神話を知っていて盛り上がる、
というエピソードは特に好きなシーンだった。
この本には『続・11人いる!』と、
『スペース ストリート』というおまけマンガも収録されているが、
『続・11人いる!』は本編とは打って変わって至ってシリアス。
人生には悲しいこともあるけれど、それでも若者達よ、歩き続けなさい、
という著者のメッセージのように思えるが、必要だったかな。
おまけマンガはそのまま楽しめる。
萩尾SF作品はとても好きだ。
またこのジャンルに戻ってきてくれないだろうかと思っていたりする。














