【本】『ワインズバーグ・オハイオ』 シャーウッド・アンダソン著
2006.02.28(Tue)
南北戦争後のアメリカ。
手工業時代から大工業時代への過渡期の時代を背景に、
オハイオ州ワインズバーグという、
架空の田舎町に住む人々を主人公とした短編集。

ワインズバーグ・オハイオ ワインズバーグ・オハイオ
シャーウッド アンダソン (1997/06)
講談社
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どの短編もすべてワインズバーグという町を舞台に描かれている。
ある短編の主人公が他の短編にも現れたりと、
読み進むうちに、
町の情景や人間関係が浮かび上がってくるようになっている。
今では珍しくない構成方法だが、
あとがきによれば著者が生み出した形式だそうだ。

新時代に取り残されつつある田舎町の沈滞した空気と、
そこに生きる疲れた人々の描写があいまって、胸に迫る。
まるで映画を見ているよう。

そして、そんな町を背景に育つ少年の成長記にもなっている。

1919年発表という古い作品であるのに、
全く色褪せていないことには驚かされた。

それは、登場する人物達すべてが抱えている挫折や不満、
心の傷といったものが、
現代を生きる私達にも共通しているもので、ひどくリアルだからだ。

完全な人などいない。人生はそうそう思い通りにいくものではない。
それでも。

ラストに著者のメッセージが込められているように思えた。



古本で購入したのだが、こちらの装丁の方がずっといい。
色褪せた教会、平原に建つ白い家、夕日、向日葵畑…。
お見せ出来ないのが残念。

購入した古本は、著者名はアンダスン表記で、橋本福夫訳のもの。
【雑誌】『月刊flowers 2006年04月号』 小学館
2006.02.27(Mon)
月刊 flowers (フラワーズ) 04月号 [雑誌] /

月刊flowers公式サイト
http://flowers.shogakukan.co.jp/
ラインナップは以下の通り。
http://flowers.shogakukan.co.jp/fla_top02.html

『うまんがR2』 新井理恵
『ブロンズの天使』 さいとうちほ
『山へ行く』 萩尾望都
『風光る』 渡辺多恵子

『たんぽぽの綿毛』 小沢真理
『Yesterday,Yes a day』 岩本ナオ
『天の鳥 花の夢』 江平洋巳
『7SEEDS』 田村由美

『眠る男と眠らぬ男』 奈々巻かなこ
『第二楽章』 荒木淳子
『貴方の運命占います』 丘山エリ
『春の日は子守唄』 神坂智子
『ドリームランドEXP.』 大竹サラ

『デレクとハナのシネマのレシピ』 遠藤佳世
『プーコの空馬車』 奈知美佐子
『しろくまカフェ』 ヒガアロハ
『はなぐもり』 坂田靖子
『ろまんが』 新井理恵

感想です。

◎良かった◎
『山へ行く』
…あるある、という日常をうまくスケッチしたという感じ。
 地味だけれども味がある。今の絵柄が残念。
『Yesterday,Yes a day』
…この人の学園モノは、
 とっくに学生を終えた者でもすんなり入っていける。
 長編は無理だろうと思っていたが、面白くなりそう。
 独特な絵はハマるとたまらない。
 ぽつりと子供に多喜二と名づける親がいるかなと思ってみたり
(小林多喜二…)。
『しろくまカフェ』
…最初の1ページで鷲づかみにされた。
 絵も独特なテンポと空気感も好み。
 あとはベタなネタをどうするのか。次号が楽しみ。

◎良かったけれど…◎
『うまんがR2』
…菊花とコンチの恋愛抜きの方が好きなので。
 でももう一つ何か欲しかった。
『ブロンズの天使』
…ナターリアに感情が出てきた点が良かった。
 それでも彼女のトロさにはイライラさせられる。
 絵柄に合うテーマを見つけて水を得た魚のような作品だが、
 個人的には正統派少女漫画テイストが苦手。
『天の鳥 花の夢』
…作者は自分のテーマを見つけたというところか。
 ただこのストーリー展開なら10代向けの雑誌の方がいいのでは。
『7SEEDS』
…次はどうなるのかと引き込まれる。でも正直疲れる…。
 他のチームのことも思い出せないし。
 単行本化後一気に読んだ方がいいのかも。

◎普通◎
『たんぽぽの綿毛』
…春生がたまらなく可愛いが、5歳児は本当にこんな感じなのかと疑問。
『ドリームランドEXP.』
…海外の日常の情報を得られて、普通に面白かった。
『第二楽章』
…ストーリーがありがちで目新しさがなかった。でも絵が魅力的。
 海外小説風漫画をめざすといいじゃないかな。
『春の日は子守唄』
…ちょっと都合が良すぎる展開だったように思う。
 尻切れトトンボの感も。でもこの作家はうまい。

◎うーむ…◎
『風光る』
…同人誌だと割り切っている。それでも…。
 ただ着物や建物、
 その他小物等を細かく描いているのはすごいと毎回思う。
 その部分だけは楽しみにしている。
『眠る男と眠らぬ男』
…新境地を開拓したい気持ちと時代モノへの未練が絡まっている。
 描き込み過ぎで読み辛い。
『貴方の運命占います』
…センスは好きだがこちらも描き込み過ぎ。
 もっとスッキリとして欲しい。
『デレクとハナのシネマのレシピ』
…取り上げる作品の選択が良くない上、内容も薄い。
 こんなコラムより作品が読みたい。勿体無い。
『プーコの空馬車』
…今回はネタ切れ?
『ろまんが』
…優駿を切りたいなら切ればいいのに。

◎番外編◎
『はなぐもり』
…この人の作品は分からない…。
 ただ、思うがままに絵を描くような作風は、凄いと思う。



来月号は小玉ユキさんの人魚シリーズ再び。
別冊がまた付くようで、
中でも「セレクトショップ萩尾」というのに期待。
【本】『ひろい世界のかたすみで』 橋本治著
2006.02.26(Sun)
1990年代後半から2004年に書かれ、
文字媒体に発表されたりされなかったりした随筆集。

ひろい世界のかたすみで ひろい世界のかたすみで
橋本 治 (2005/10/20)
マガジンハウス
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内容は、

・現代
・個人史
・古典芸能(薩摩琵琶・歌舞伎)
・古典文学
・芸術
・その他

というところ。

相変わらずのハシモト節で、こちらの頭の中の埃を払ってくれます。

特に印象に残ったのは、
雅楽の何たるかを語った部分と、
源氏物語について書かれているところ。

雅楽を通して日本人と自然について解説してくれています。
すとんと心地よく納得。
源氏物語に関しても、こういう読み方があったのか、と。
もう一度きちんと読み返してみたくなりました。

全体を通して読んだ印象としては、
ちょっと雑多すぎたかなという感じ。
いろいろな種類のエッセイを読めたことをよしとするか、
一つのテーマに絞ったものをじっくり読みたかったかで、
感想は違ってくると思います。

相変わらずのハシモト節と書きましたが、
やはり年齢と共に丸くなってきた感が。
それでも年齢を重ねるにつれてこれからどうなっていくのかと、
非常に興味深いです。
この人の著作はこれからも読み続けたいと思わせてくれた本でした。
【フィギュアスケート】トリノ冬季五輪 フィギュアスケート・エキシビション
2006.02.25(Sat)
プルシェンコ劇団ご一行様でしたね。

エキシビションといえば、
大会の重圧から開放された選手達の自由な演技が楽しみなわけですが、
今回はとても静かでした。

大抵弾けた演技を披露してくれる選手がいるのですが、
今回は五輪のためなのか、
一番期待していたプルシェンコ選手まで落ち着いた演技。
ちょっと残念でした。

印象に残ったのはランビエール選手と、プルシェンコ選手くらい。
荒川選手の女王然とした美しい滑りも良かったですが。

もやもやした気分のまま、
これまで見たエキシビションで、
印象に残っているものを書き出してみました。

【世界選手権・その他試合】
・トービル&ディーン…「“ボレロ”の年のEX」 
・スコット・ハミルトン…「引退直前のEX」
・デビ・トーマス…「初心者プロ」
・クリストファー・ボーマン…「ローリングストーンズメドレー」
・ミシュクテノク&ドミトリエフ
 …「ドンキホーテ」「ドンキホーテの衣装でアンコールで滑ったもの」
・カザコワ&ドミトリエフ…「さくらさくら」
・アニシナ&ペーゼラ…「スザンナ」
・ジョニー・ウィアー…「ロシア語の歌で滑ったもの」
・ジェフリー・バトル…「アヴェマリア」

【冬季五輪】
・オクサナ・バイウル…「黒鳥」
・ナンシー・ケリガン&ポール・ワイリー… 「即席ペア」
・ブラスール&アイズラー…「耳と尻尾」
・フィリップ・キャンデロロ…「ゴッドファーザー」「ロッキー」
・ウソワ&ズーリン…「枯葉」
・イリーナ・スルツカヤ…「カウガール」
・本田武史…「Sing Sing Sing」
・べレズナヤ&シハルリゼ…「ライムライト」

むー、懐かしい。
これらのような、
その後も長く印象に残るプログラムを今回も見たかったです。


(自分用メモ)
Magic Memories on Ice 2 / Sports
6302973376

Magic Memories on Ice 3 / Sports
630481206X

これは読みたいと思っている本。
君なら翔べる!―世界を魅了するトップスケーターたちの素顔
佐藤 信夫 佐藤 久美子
4575298646
【フィギュアスケート】フィギュアスケート女子フリー・金メダル 荒川 4位 村主 15位 安藤
2006.02.24(Fri)
「その者、青き衣をまといて金色の野に降り立つべし・・・」
(『風の谷のナウシカ』より)

風の谷のナウシカ
宮崎駿 島本須美 納谷悟郎
B00005R5J3


メダル数0に喘いでいた日本の前に、
青い衣をまとったヒロインが颯爽と降り立ちましたね。
荒川選手にとっては、すべてが上手く噛み合ったいうところでしょう。
ただ一人悠然と、
そして優雅に滑る姿は、金メダルに相応しいものでした。

スルツカヤ選手とコーエン選手の、
金メダルにかける情熱は誰もが知っているところ。
特に母親と自身の病気を抱えているスルツカヤ選手には、
今回こそ金メダルを獲って欲しいと思っていた人が多かったはず。

一度の出場であっさりと金メダルを獲得する選手がいれば、
何度出場しても届かない選手がいる…。
勝負の女神はどこで何を判断をするのか、聞いてみたいものです。

村主選手の健闘振りはもっと讃えられるべきだと思います。
昨年の秋には痛みで歩くことすら出来なかった彼女が、
前回出場時よりもさらに順位を上げて終えたことは、
本当に素晴らしいの一言。
現役続行の意思を表明していますし、
これからも見続けていきたい選手です。

安藤選手はトリノに来てから言動が変わりましたね。
元々素質に恵まれている選手。
あとは本人の考え方次第。
これからは真剣に取り組んで、
いいスケーターになって欲しいと願っています。

開会式で聞いたパバロッティの「誰も寝てはならぬ」。
氷の心から笑顔になるトゥーランドット姫。
今夜はあのメロディと、
荒川選手の美しい笑顔とイナバウアーを思い浮かべながら、
眠ることにします。

…エキシビションどうしよう。
【本】『沖で待つ』 絲山秋子著(『文藝春秋 3月号』)
2006.02.23(Thu)
第134回芥川賞受賞作品。

文藝春秋 03月号 [雑誌] 文藝春秋 03月号 [雑誌]
(2006/02/10)
文藝春秋
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主人公の女性と同僚の男性。
単なる友人ではないけれど、恋人でもないという独特の空気感。
短い作品の中で職場のあれこれを見事に描く。
客観的で淡々とした中にほんわりと漂うユーモア。

確かにいいのですけれども。

だからどうした?と思わずにはいられませんでした。

目新しさもないですし。

他の短編を読めばまた印象が変わるのでしょうか。

作品の雰囲気自体は心地良いものがあるので、
短編集を読んでみた方がいいのかもしれません。
読むのかと聞かれれば、微妙ですが。

沖で待つ 沖で待つ
絲山 秋子 (2006/02/23)
文藝春秋
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【フィギュアスケート】荒川静香 3位 村主章枝 4位 安藤美姫 8位
2006.02.22(Wed)
よもやこんな展開になろうとは。
トリノ冬季五輪フィギュアスケート女子シングルショートプログラム。

荒川選手の高得点は嬉しい予想外。何だか風格が。
予想外といえば寒色系の印象の強かった彼女が赤を着るとは。
凛とした佇まいには、思わず「兄貴お疲れ!」と(ウルトラマンに見えたからではない)。
とはいえ最近は素晴らしく美しくなりましたよね。
精神的に充実しているのでしょう。これは期待を持てると思いました。

村主選手の会場を惹き込む演技はさすがでした。
普段はフィギュアスケートを見ない父が、「村主が一番良かったな」とポツリ。
ジャンプもクリーンで美しく、これがつい最近まで怪我をしていた選手なのかと。
ただストレートラインステップでは決めのポーズの手の振りが変わっていたのが残念でした。
個人的にあのポーズが好きだったので。
それから、痩せすぎ。細すぎ。
繊細で華麗ですが、上位3人に比べると迫力不足の感は拭えませんでした。
衣装が地味だったのも細身を強調してしまっていたように思いました。

安藤選手の衣装は気の毒の一言。
健康的な躍動感ある体の美しさを消してしまっていました。
演技は緊張しているのが見ている側にも伝わってくるほどで、やはりミス。
それでも8位という順位はラッキー。
最後に吹っ切れたようなミキティスマイルが見られたことも良かったです。

スルツカヤ選手は技術系なのに、今回3-3を飛ばなかったことはどうだったのかなと。
前回の大会も守りに入って敗れてしまいましたし。
今日もあまり調子がいいというようには見えませんでした。

コーエン選手は良かったですね。
でも私は彼女の低空ジャンプと、常に「どうよ!」といわんばかりのスケートは苦手だったりします。

フリーではこのふたりが互いにプレッシャーを掛け合っているところを、
荒川選手と村主選手に漁夫の利を得て欲しいと思っていたりするのですがどうでしょう。

ただ滑走順を見ると、
スルツカヤ選手に金メダルを取らせてあげたいとクジ運の神様は言っているようですねえ…。

ショートプログラムで6位となったゲデワニシビリ選手も注目ですね。
最年少の16歳ですが、ジャンプが印象に残りました。タラソワがコーチをしているようですし。
台風の目となるのでしょうか。…なって欲しくないけれど〜。

何はともあれ、どの選手も皆最高の演技が出来ますように。
決戦は金曜日。
【フィギュアスケート】カルメン、伊藤みどりと安藤美姫
2006.02.21(Tue)
トリノ冬季五輪フィギュアスケート・アイスダンス・フリーを見ました。

金メダルはナフカ&コストマロフ組(ロシア)の貫録勝ち。
銀メダルはベルビン&アゴスト組(アメリカ)でしたが、
この金銀メダルペアが演じたのが揃って「カルメン」。

カルメンという「女」を演じさせれば、
21歳のベルビンよりも30歳のナフカに軍配が上がるのは明白。
なのになぜ?

アメリカは、
1988年カルガリー冬季五輪での女子シングルでも同様の事をしました。
当時の女王、
ドイツのカタリーナ・ビットがフリーで「カルメン」を演じると知るや、
自国のエース、デビー・トーマスにも「カルメン」を演じさせたのです。

どちらが「カルメン」に相応しいかは一目瞭然で、
結果もその通りとなりました。

ビットもトーマスも出来は良くなく、ビットは演技過剰の印象。
カルメン」対決にウンザリしていたカナダの観客の前で、
ノーミスで高いジャンプを飛び切り、
満場の拍手喝采を浴びたのが18歳の伊藤みどりでした。

逆に作戦を見事に成功させたペアもいます。
1992年アルベールビル冬季五輪での、
グリシュク&プラトフ組(ロシア)です。
この大会ではプロの参加が認められ、
注目の的となったのがトービル&ディーン組(イギリス)でした。
「ボレロ」という伝説のプログラムを生み出し、
観客を魅了する術を知り尽くしている熟年ペアに対して、
グリシュク&プラトフ組が取った作戦は、
トービル&ディーン組が唯一持っていない弱点を突くことだったのです。

「若さ」です。

トービル&ディーン組が魅せる演技の陰で、
技術的な衰えを隠しているところへ、
グリシュク&プラトフ組はロックンロールのリズムにのせて、
休むことなくスピーディーに細かいステップを刻み続けたのでした。
見事に金メダルを獲得。
トービル&ディーン組を応援していた私でも、
これはやられたと思いましたね。
敵(?)ながらあっぱれでした。

ベルビン&アゴスト組も、
この手でいけばよかったのではないかと思いました。
彼らの若さと清々しさをいかしたプログラムにすれば…。
逆にあえてナフカ&コストマロフ組と同じ演目にすることで、
若さを見せ付けようと意図したのかもしれませんが。

そして、アルベールビル冬季五輪といえば、伊藤みどりです。
金メダルは確実だと思われていました。
どれだけのプレッシャーであったか。

本番のショートプログラム直前の彼女の顔つきは悲壮でした。
これはだめだな…と思っていると、案の定…。

フリーでも最初のトリプルアクセルを失敗。
見ていられない…と思いましたが、
後半で成功させたのには涙が出ました。
五輪史上初の快挙でした。

今心配なのが安藤美姫です。
アルベールビル五輪の伊藤みどりとダブります。
情緒不安定さ、周囲からの「4回転」。

でも彼女には金メダルの期待はありません。
村主や荒川という2人の日本人選手もいます。
孤独ではありません。

カルガリー冬季五輪の伊藤みどりのような無心の心境と、
アルベールビル冬季五輪の伊藤みどりのような負けず嫌いの勝気さで、
最後にはミキティスマイルを見せてもらいたいものです。



いよいよトリノ冬季五輪女子フィギュアスケートの始まりですね。
安藤、荒川、村主という滑走順の模様。
3人とも皆満足のいく最高の演技が出来ますように。



ベルビン&アゴスト組の演目はカルメンではない、
とのご指摘を受けました。
訂正してお詫びします。

ただ、
円熟味のある組と同じタイプの衣装と音楽にしたのは、
やはり作戦としてどうだったのかなと思います。
その辺りの意図を汲んで頂けると、幸いです。
【本】『フェッセンデンの宇宙』 エドモンド・ハミルトン著
2006.02.20(Mon)
「スペース・オペラの巨匠」にして、
「奇想SFの名手」である著者の、日本版短編集。

フェッセンデンの宇宙 フェッセンデンの宇宙
エドモンド・ハミルトン (2004/04/15)
河出書房新社
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良くも悪くも、古き佳き時代のアメリカのSF小説。

今となっては取り立てて目新しさは感じられないが、
当時としては画期的であったのだろうと思われる。

全編を通して、
切望していたものを手に入れた恍惚感と喪失感という話が多く、
読後すっきりしない。
女性に対する見方にしても、古き佳き時代の男性の女性観でうんざり。

SFの定番になるアイディアを多数考え出した人だそうで、
そう言われてみれば確かに…というところ。

オーソドックスな昔のアメリカのSFを味わってみたい人にはいいかも。
私にはちょっと退屈だった。



河出書房新社奇想コレクションの装丁がなかなかいい。
ポップで可愛いイラストばかり。

装画:松尾たいこ
★taikographic(松尾たいこHP)
http://www.taikomatsuo.com/

装丁:阿部聡(コズフィッシュ)
【本】『なつかしく謎めいて』 アーシュラ・K・ル=グウィン著
2006.02.19(Sun)
空港でイライラしながら飛行機を待つ時間。
不味い食事、不快な隣人、煩い騒音…。
そんな中で発見された「シータ・ドゥリープ式次元間移動法」により、
地球外の次元へと旅することが可能となった。
その移動法を使い、
「私」が訪ねた15の次元について描かれた連作短編集。

なつかしく謎めいて なつかしく謎めいて
アーシュラ・K. ル=グウィン (2005/11)
河出書房新社
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面白かった。

70代になった著者の、肩の力の向けた軽妙洒脱な空想エッセイ。
それでいて短編を読み進めていくうちに、
真剣に考えさせられてしまう。

15の次元の「次元」とは、地球外の国のことだと思ってもらえばいい。
各短編がそれぞれ全く違う色合いであるため、飽きることがない。
短編一つで十分作品として読める完成度である。

それでいて、すべての話に共通しているのは、
地球という次元に生きる人間という生き物に対するシニカルな目だ。
各次元の話を通して、地球人の滑稽さを浮かび上がらせている。

その点においては、
作中にも出てくるが『ガリヴァー旅行記』を思い起こさせる。
しかしそこまでシニカルになりすぎてはおらず、
著者はユーモアを忘れていない。
話が重くなると次には軽い話をもってくるなど、緩急自在。

ぜひこの次元間移動法の旅に参加して欲しい。
15の次元を旅して帰ってきた時には、
今までとは見える景色が違ってくるであろうから。
【本】『輝く断片』 シオドア・スタージョン著
2006.02.18(Sat)
「アメリカ文学史上最高の短編作家」
「一部のSFファンの間でカルト的な人気を博した作家」
シオドア・スタージョン(1918−1985)の短編集。
著者は1930年代末からアメリカで活躍したSF作家。

輝く断片 輝く断片
シオドア・スタージョン (2005/06/11)
河出書房新社
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正直に言うと、読み辛い。
我慢して短編一作を読み切っても、
そんなに持ち上げるほどの作家なのか?と。
しかし、である。

最高傑作と言われている『マエストロを殺せ』が素晴らしい。

人間の内面、
それも暗く複雑な感情を、それは見事に捉え、描いている。
それだけに、人間という生き物の哀しさ、切なさが胸に迫る。

最後に収められている表題作もいい。
雨の夜に拾った重傷を負った女性を、
孤独な男が一人で面倒をみるのはなぜなのか…。

「SF作家」「カルト的人気」という言葉は、
却ってスタージョンの著作に、
偏見を持たせてしまうのではないかと思う。

特異な状況を背景として使いながらも、
作品を貫いているのは著者の人間に対する目だ。
冷静に綺麗事では済まない人の感情を観察しながら、
そんな人間を温かく見つめている。

SF特有の不思議な雰囲気と、
人間を見つめるという古典的な面が、
うまくミックスされているところが、
著者独特の魅力となっているように感じた。
【フィギュアスケート】トリノ冬季五輪男子フィギュアスケート・フリー
2006.02.17(Fri)
つまらなかったですね(いきなり…)。

金メダル確実と思われたロシアのプルシェンコ選手は、
その通りにあっさりと金メダルですし、
団子状態の銀メダル以下の争いにも大逆転も華もありませんでした。
高橋選手はよくやったと思います。
残念ながら最高の滑りではありませんでしたが、
初出場の五輪で一桁順位というのは上出来だったと思います。

一生懸命滑った選手達に対して、
つまらなかったと言うのは失礼なことだというのは重々承知です。
それでも心に残る、
もう一度見たいと思わせてくれるプログラムがなかったことは、
本当に残念でした。

その元凶はやはり新採点法にあるのではないかと思います。

選手にとっては、詰め込まないといけない要素が多すぎる為に、
滑りが小さくなってしまう。
そして必須要素が多い為に、
どのプログラムも似たり寄ったりの内容になってしまう。
またルールが細かすぎて、
今回のウィアー選手や高橋選手のように一つジャンプを失敗すると、
その後のジャンプの組み合わせに迷って致命的なミスを犯してしまう。
観客にとっては、あまりにも分かり辛い採点法のため、
見ている側の印象と採点結果が、
かけ離れてしまうことが出てくるようになってしまいました。

高橋選手の技術点を見て、低すぎる!と誰もが思ったことでしょう。
私もそうでした。
調べてみてやっと理由が分かりましたが、
ここでスラスラと書き出せないほどの複雑さでした。

勿論新採点法にも良い面はあります。
採点する対象が細かくなったことで、
より公平な採点が出来る点と、
ジャンプ以外でも、
ステップやスピンで加点が望めるようになった点です。

しかし、分かり辛すぎる…。

採点競技というのはなかなか難しいものです。
審判は人間であり、
彼らの好みなどがどうしても反映されてしまいます。
そこで登場したのが新採点法だったわけですが…。

フィギュアスケート自体がまた難しい競技です。
スポーツであると同時に芸術性も求められる。

何とかスポーツの面でも芸術の面でも公平な採点であると同時に、
観客の印象にも近い採点法というものを見つけて欲しいものだと思いました。
【本】『博士の愛した数式』 小川洋子著
2006.02.16(Thu)
30代を目前にした家政婦が新しく派遣された先には、
記憶を80分間しか保つことの出来ない「博士」がいた…。

博士の愛した数式 博士の愛した数式
小川 洋子 (2005/11/26)
新潮社
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文庫本の表紙そのままの物語。
淡く優しい緑色と黄色と茶色とで描かれた水彩画。

しかし読後感も淡々としたものだった。

家政婦が昔を振り返り、
いい人と巡り合っていい時間を過ごすことが出来ました…で終わり。
すべてが予定調和で、いい話といえばいい話だがそれだけ。

「博士」を数学者にして、
数字や数式のロマンを通して人生を語らせたり、
そこへ家政婦とその息子との触れ合いと、
阪神タイガースを掛け合わせた辺りは確かに面白いし見事だ。

でも。

つい厳しい見方をしてしまうのは、
博士の前向性健忘という設定だけが、
浮いているように感じられたからだ。
この設定だけがうまく噛合っていない。
「博士」の苦しみが伝わってこないし、
その苦しみから家政婦親子が何かを学ぶかといえばそうでもないのだ。
穿った見方をすると、
背広にメモを貼り付けた男を描きたかったから、
前向性健忘という設定にしたのではないかとすら思ってしまった。

そんな意地の悪い見方をしてしまったのは、
ある映画が頭から離れなかったからだ。

『メメント』。

メメント メメント
ガイ・ピアース (2006/06/23)
アミューズソフトエンタテインメント
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この作品の主人公も、「博士」と同様に前向性健忘だ。
しかし「博士」の記憶が80分なのに対して、
こちらの主人公の記憶はわずか10分。
しかも記憶の最後は、愛する妻が殺されているところだ。
こちらの作品の方が遥かに様々なことを考えさせられる
(一見の価値あり。ただし、
博士の愛した数式』とは全くカラーが違うので、その点は要注意)。

まあ、著者は病気の苦しみを書く気はなかったのかもしれない。
病気はあくまでもおまけであって、
そんな病気を持つ「博士」と言う人間を描きたかったのだろう。

最後に興味を持ったこととして、
実際に数学を勉強している人はどう思うのだろうということ。
私は完全な文系人間なので、
「博士」のように数字や数式を思うことは出来ない。
数字に対するロマン、数式を解くロマン、というものが分からない。
この本を読んですら分からなかったという体たらくだ。
数学を専門にしている人の話を聞いてみたいものだと思った。



(自分用メモ)
この著者の作品を読んだのは初めてだったが、
文体が私の好みとは合わなかった。
リズムが合わない。『妊娠カレンダー』の方が面白そうな予感。

この文庫本の装丁はかなり好きだ。
カバー装画:戸田ノブコ

★戸田ノブコ * ホームページ
http://www.h4.dion.ne.jp/~todanob/index.html
【フィギュアスケート】トリノ冬季五輪男子フィギュアスケート・ショートプログラム
2006.02.15(Wed)
高橋選手、上々のスタートですね。正直驚きました(失礼)。
第一滑走は緊張すると聞きますし、
点も出にくいのでどうなるかなと思っていました。
プレッシャーに強くない選手ですしね。
ジャンプの着地でミスがありましたが、
飛んだと認定されて良かった…。
一度失敗するとそれを引き摺ってしまう選手でしたが、
今回は成長の証を見せることが出来ましたね。
大学で応援していた織田選手も可愛かったです。
出たかったでしょうに、笑顔で応援している姿には好感を持ちました。

一位は予想通りロシアのプルシェンコ選手でしたが、
相変わらずちょっと気持ち悪いプログラム…。
サーキュラーステップのところなど、
壊れたのか?!と思いましたよ(冗談です)。
この選手は、
もっといい振り付けをしてもらえばいいのにといつも思います。
それでも今回こそは絶対に金メダルを取る!という強い意気込みと、
ミスなくこなした精神力は素晴らしかったと思います。

全体を通して見てみると、
やはり新採点の悪い部分が出てしまっているなと感じました。
どのプログラムも同じような内容。
レベル4のためにはあれもこれもと技を詰め込めざるを得ず、
選手達は皆窮屈そうでした。
スピンは必ず何回か体勢やエッジを変える、
細かいけれど細切れでスピード感に欠けるステップ等々。
小さくまとまってしまっていて、見ていても爽快感がないのですよね。

また、4回転を跳ぶ選手が少なくなりました。
前回のソルトレイク冬季五輪の時のような、
4回転を2回決めないと表彰台は無理、
という時代には私は抵抗を感じていました。
結果的に4回転時代の選手達は皆、
選手寿命を縮めてしまいましたし(ヤグディン本田ゲーブル等)。
それでも、1回は飛んで欲しいなと思いましたね。
まあ今回は失敗が出来ないショートプログラムで、
ジャンプも失敗すれば大減点という新採点ですから、
安全策として飛ばなかった選手が多かったのでしょうけれど。

印象に残るプログラムも皆無で、
個人的にもう一度見たいと思ったのは、
2位のアメリカのウィアー選手くらいでした。
寂しいです。

フリーでは各選手に4回転を飛んで欲しいなと思っています。
男子が3-3のコンビネーションで拍手、ってどうなのよ?と、
伊藤みどりを見てきた者としては思わざるを得ないのです。
しかもみどりさんのジャンプの方が高い上に質がいいという…。

二位以下は団子状態なので、誰にでもチャンスがありますね。
高橋選手はフリーでは最終グループの最終滑走。
高橋に始まり高橋で終わるとは、何ともすごいクジ運。
フリーでは変な欲を出さず、
自分の持てる力をすべて出し切って欲しいです。

他の国の選手達にも、
もう一度見たいという滑りをぜひとも見せてくれるようにと、
願っています。
【漫画】『銀のロマンティック…わはは』 川原泉著
2006.02.14(Tue)
怪我により引退した元スピードスケートの世界チャンピオンと、
天才バレエダンサーを父に持ちながらも、
バレエよりスケートが好きな女子高生。
このふたりが氷上で出合った時、
銀色に透明な、
真のロマンティック・スケートの物語が始まるのだった…わはは。
『甲子園の空に笑え!』内収録

甲子園の空に笑え! / 川原 泉

19492204.jpg


川原泉といえば、「理系の少女漫画家」(と勝手に思っている)。
少女マンガでありながら、どこか冷めている。そして照れている。
この作品もその例に漏れず無機質で、
叙情的になりそうになるとギャグに逃げている。

イラスト自体は決して上手くはなく、
演技中のシーンなどほとんど出てこない。
「理系」らしく?どんな演技をしたのかという描写よりも、
試合前後の練習や作戦、
選手やコーチの考え方の方に重点が置かれている。
フィギュアスケートに関する説明もあり、
裏側をなかなかよく描いていて面白い。

ルール説明には時代を感じるが、
その当時を知っている者としてはしみじみと懐かしい。
また、女子が男子をリフトすることが実際に起ころうとは、
作者も思っていなかったはず(フランスのアイスダンスペア、
アニシナ・ペーゼラ組の十八番:現在は現役引退してプロ)。

作者はこの作品を描いている時点で、
かなりフィギュアスケートが好きだったのだろう、
ということが感じられる。
そしてそんな作者が掲げた「銀のロマンティック」という定義。
長年フィギュアスケートを好きで見てきた私も強く同感出来る言葉だ。

「銀のロマンティック」とは何?と思われた方は、
ぜひ読んでみて頂きたい。

そして、高橋、村主、荒川、安藤の各選手達には、
ぜひとも「銀のロマンティック」を体現してもらいたいものだと、
心から願っていたりする今日この頃です。



高橋選手は1番滑走を引いてしまいましたね。
得点には不利ですが、精神的には余計なことを考えなくていいのかも。
持てる力を出し切って欲しいです。
【本】『小沢昭一的こころ』シリーズ 小沢昭一著
2006.02.13(Mon)
体調がすぐれず不安な時、手に取る本があります。
内容が分かっていて、読んでいると安心出来る本…。
それがこの本です。

イケイケどんどん 小沢昭一的こころ イケイケどんどん 小沢昭一的こころ
小沢 昭一、宮腰 太郎 他 (1997/11)
新潮社
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著者を知ったのは、ラジオ番組でした。
知る人ぞ知る長寿番組、

★「小沢昭一小沢昭一的こころ」(1973年〜現在放送中) です。
http://www.tbs.co.jp/954/ozawa/

著者の語り口調がとにかく心地良い。
時事ネタにほのかにオヤジエロを交えた内容も、
聴いていて思わずほっこりさせられます。

今回取り上げた本は、
このラジオ番組を下敷きにして書かれたものです。
短編集で、各短編にそれぞれのテーマがあります。
独特の語り口調はそのまま文章に活かされており、
読んでいると著者の声が聞こえてくるよう。
著者の博識ぶりや経験が垣間見える内容は、
決して「芸能人のラジオ番組」という生ぬるいものではありません。

また著者は最後の「芸人」でしょう。
芸能に関して書かれた本が多数あります。
こちらもおすすめです。

★「小沢昭一的こころ」シリーズは全13巻の模様。
小沢昭一的こころ』 
小沢昭一/著 芸術生活社 1978年発行
『おなじみ 小沢昭一的こころ』 
小沢昭一/口演 津瀬宏/筋書 芸術生活社 1979年6月発行
『心機一転 小沢昭一的こころ』 
小沢昭一/口演 木谷恭介/筋書  芸術生活社 1981年5月発行
『再び 小沢昭一的こころ』 
小沢昭一/著 津瀬宏/著 芸術生活社 1981年発行
絶好調 小沢昭一的こころ / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
旅ゆけば 小沢昭一的こころ / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
滋養豊富・元気の素 小沢昭一的こころ / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
旅まくら 小沢昭一的こころ / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
小沢昭一的こころ―泣け!お父さん / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
旅は青空 小沢昭一的こころ / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
背中まるめて―「小沢昭一的こころ」のこころ / 小沢 昭一
小沢昭一的こころ―しみじみ くすくす / 小沢 昭一、宮腰 太郎 他
小沢昭一的こころ―ノーテンキ旅 小沢昭一的こころ―ノーテンキ旅
小沢 昭一、宮腰 太郎 他 (1995/12)
新潮社
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イケイケどんどん 小沢昭一的こころ イケイケどんどん 小沢昭一的こころ
小沢 昭一、宮腰 太郎 他 (1997/11)
新潮社
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もう新刊は出されないのでしょうか。
待っているのですが…。



私事ですが、ここ数大会冬季五輪開催中に必ず風邪を引きます。
今年こそはと気を付けていましたが、やられました…。
今夜はこの本を手に、もう休むことにします。
皆様もどうぞご自愛下さい。
【本】『塵よりよみがえり』 レイ・ブラッドベリ著
2006.02.12(Sun)
アメリカイリノイ州の小高い丘の上に建つ一軒の屋敷。
ここにはエジプト生まれのミイラの「おばあちゃん」、
心を飛ばす魔女「セシー」など、
この世の者ではない者達と、
唯一の人間である子供ティモシーが暮らしている。
そんな屋敷に、世界中から同じ一族達が集まろうとしている…。

塵よりよみがえり 塵よりよみがえり
レイ・ブラッドベリ (2005/10/05)
河出書房新社
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ガルシア・マルケスの傑作小説『百年の孤独』と、
萩尾望都の傑作漫画『ポーの一族』を掛け合わせたような作品。

修飾の多い長い文体は『百年の孤独』を思い起こさせるが、
魅力で言えば負けているし、
この世の者ではないことの悲哀で言えば、
『ポーの一族』に負けている。

正直、この世界には入っていけなかった。

あまりにも読み辛いので先にあとがきを読み、
基礎知識を仕入れて再スタート。
何とか読みきったものの…。

ブラッドベリ特有の状況描写の美しさは相変わらず魅力的であるし、
作品の締め方などはさすがで、
この終わり方がなければ救いがなかった。

また、
お化けや幽霊の世界に興味のある人だったら楽しめたと思うが、
そちらの方面には関心のない私には苦しかったし、馴染めなかった。
最後まで『百年の孤独』と『ポーの一族』を拭い去ることが出来ず、
しかもこの2作品の方が、私にとっては遥かに魅力的だった…。

元々この「一族」の話は、
著者が子供の頃の親戚達やそのエピソードがモデルであるそうだ。
著者は50年(!)かけてやっと、
「一族」の話の集大成として完成させたそうである。

現在80代の著者が、20代の頃から紡いで来たストーリー。
作品の主人公、ティモシーが著者なのだろうなと思った。
80代になっても、いまだきらきらした子供の瞳を失わない人。
まだまだ新しい話を作り続けて欲しいものである。
【スポーツ】トリノ冬季五輪開会式
2006.02.11(Sat)
トリノ冬季五輪、いよいよ始まりましたね。

開会式を見ました。
選手入場までの前半は、
ダレるところのないスピーディーな展開が好印象。
スキージャンプをマスゲームで表現したのは見事でした。

選手入場では、国名のプラカードを持つ女性の衣装が素敵でした。
あれもアルマーニ作だったのでしょうか。

国別のユニフォームだと、フランスが良かったですね。
http://cache.gettyimages.com/xc/56819071.jpg?v=1&c=MS_GINS&k=2&d=AAAB1D3D22B8F28C7D2B87ACD9698BAE
紺のピーコートと白いパンツにニット帽とマフラー。
赤を差し色にしてさりげなく国旗カラーにしているところなどさすがでした。
フランスのユニフォームは毎回楽しみにしています。
次点はイギリス。
http://cache.gettyimages.com/xc/56818278.jpg?v=1&c=MS_GINS&k=2&d=AAAB1D3D22B8F28C67EB3313DF645682
トラッドなコートに柄入りのマフラーが効いていました。
日本は…。

その後の後半はグダグダで残念。
カーラ・ブルーニ久々のモデル姿や、
http://cache.gettyimages.com/xc/56817427.jpg?v=1&c=MS_GINS&k=2&d=AAAB1D3D22B8F28CE887F704576E8F05
エヴァ・ハーツィコヴァのビーナス姿を見ることが出来た事は、
モデル好きとしては嬉しかったですが。
ソフィア・ローレンも健在で何より。

それにしても、
なぜオノ・ヨーコが(いきなり「イマジン、ピース!」だし)。
ピーター・ガブリエル太りすぎ。
フェラーリ、スピンしすぎ。
パバロッティ、巨大化しすぎ。

オペラが見たかったので、
最後を名曲「誰も寝てはならぬ」で締めたのは良かったです。
もう1曲聴きたかったですけれど。

個人的に最高のオープニングだったと思っている、
アルベールビル冬季五輪開会式には及びませんでしたが、
前半まではここ数年では素晴らしい内容だったと思います。

さあ、これからどんなドラマが展開されるのか。
とても楽しみですね。
【本】『本当はちがうんだ日記』 穂村弘著
2006.02.10(Fri)
歌人として知られる著者のエッセイ集。

本当はちがうんだ日記 本当はちがうんだ日記
穂村 弘 (2005/06)
集英社
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この著者のエッセイを読んでいると、その観察眼に驚かされる。
人の些細なところで浮かぶ些細な感情を、
見事に掬い上げているのだ。
あ、よく分かる、それ。でもそれによく気付いて、
よく言葉に出来るなあ、と。
こうでなければ歌人にはなれないのだろうなあ、
と感心させられてしまう。

ただ、それが著者自身の心情が対象になり、
行き過ぎると鼻に付いてくる。
「本当はちがうんだ、本当の俺はこんなんじゃないんだ」という叫び。
結局あなたは自分が一番可愛いんじゃないの、
自意識過剰すぎだとイライラさせられる。
「本当はちがうんだ」といつまで言い続けるつもりなのかと。

ところがこの作品のあとがきで、著者はついに宣言している。
本当はちがうんだ、と言いながら時間を先延ばしにしてきたけれど、
もうそんなことは言っていられない、と。
どんなに格好悪くても、今を生きなきゃ、と。

「本当はちがうんだ」をやめ、
今の時間を受け入れ腰を落ち着けた著者が、
これからどんな歌を詠み、
どう周囲の人間と自分とを観察していくのか。
非常に興味深い。



歌集としてはこれがいいかな。自選ベスト版。
「手紙魔まみ」が良かったような記憶が。

ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi
穂村 弘 (2003/05)
小学館
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【本】『ダンデライオン』 メルヴィン・バージェス著
2006.02.09(Thu)
80年代パンク時代のイギリス。
家庭に不満を持つ14歳の少年タールと少女ジェンマは家出をする。
気のいい仲間に拾われ、
空き家に寝泊りしながらストリートで生きていく術を身に付けるが、
やがてドラッグに手を出すことになる…。

ダンデライオン ダンデライオン
メルヴィン バージェス (2000/02)
東京創元社
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10代の少年少女特有の、親や社会に対する不満、
現状認識の甘さ、視野の狭さ、純真な心、好奇心等、
良い面も悪い面もそれは鮮やかに描かれている。
彼らがあっさりと堕ちていってしまう姿も非常にリアルで、
読んでいると胸が痛む。

作品は、登場人物達それぞれの視点で語られる。
タール視点の次はジェンマ視点、
その次は別の登場人物視点、の繰り返し。
この方法によって一人の登場人物が、
他の登場人物達にどう見られているかが描かれており、
内容はドライで客観的だ。
だがその分、読み手側は様々なことを考えさせられてしまう。

10代の少年少女からは昔の自分を思い出してしまい、
主人公達の両親からは今の、
そして将来の自分について考えさせられてしまった。

生きるということは自分で考えて選択をすること。
自分に言い訳をしながら楽な方へと流されるという選択ではなく、
その時の最善の選択をしていくようにしたいと思った。
選択一つで、希望が生まれるのだから。



カーネギー賞 ガーディアン賞 受賞作品
【本】『豚の死なない日』 ロバート・ニュートン・ペック著
2006.02.08(Wed)
アメリカバーモンド州の農家の息子ロバートが主人公。
敬虔なシェーカー教徒の父や周囲の人々との触れ合いの中で、
12歳の少年が成長していく姿を描いている。

豚の死なない日 豚の死なない日
ロバート・ニュートン・ペック (1996/01)
白水社
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物語は主人公の少年がいきなり牝牛の出産を手助けしながら、
大怪我を負う場面から始まる。
この時点ですっかりストーリーに引き込まれてしまった。

要約してしまえば、
慎ましやかな農家の生活の中で成長する少年の物語だ。
特に驚くような展開もない。
だが、ありふれた成長物語ではない点が素晴らしい。

農家での日々がストレート描かれていて圧倒される。
それ以上に印象に残るのは、人々の姿だ。

貧しくとも農家の仕事に誇りを持つ男達。
優しく料理上手な母親。様々な女達。
人としての節度を踏まえ、
互いを尊重しつつ交流する彼らの姿は、ひどく美しい。

ロバートと父へイヴンの「父と子」の姿もいい。
父親を尊敬と愛情の目で優しく見つめる息子と、
息子を一人前の農家の男に育て上げようとする心優しく強い父。

アメリカの、アメリカらしい最も良い部分が表されていると感じた。

続編もあるようだ。ぜひ読みたい。

続・豚の死なない日 続・豚の死なない日
ロバート・ニュートン・ペック (1996/10)
白水社
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【音楽】「マイ・ファニー・バレンタイン」 チェット・ベイカー
2006.02.07(Tue)
フィギュアスケート安藤美姫選手が、
今季のショートプログラムに使用したことで、
一躍知られることとなったこの曲。
元々は1937年のブロードウェイ・ミュージカル
『Babes in Arms』で初演された古い曲。
その後もスタンダードナンバーとして愛され続けています。

安藤選手は失恋の曲と解釈したようですが、実は逆。
「あなたは決して完璧な人ではないけれど、
そこが好きなの。だから髪の毛一本変えないで…」
という内容。
恋人を褒めないことで愛を告白している、
ちょっとひねったラブソングなのです。

マイルス・デイビスやビル・エバンスの演奏、
フランク・シナトラや、
ナット・キング・コールの歌がよく知られていますが、
私が一番好きなのが、チェット・ベイカーの歌声。

一時はマイルスさえ凌いだジャズトランペッターですが、
ボーカルも最高。
中性的で囁くような歌声には、独特の色気と空気感があります。

チェット・ベイカー・シングス チェット・ベイカー・シングス
チェット・ベイカー (2006/06/14)
東芝EMI
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このCDは名盤中の名盤。必聴です。
「マイ・ファニー・バレンタイン」の他にも、
スタンダードナンバーが一杯。
チェットのクールで甘い歌声を堪能して下さい。

いや、
やはり自分は美しい女性に歌ってもらいたい、
という貴兄にはこちら。

映画『恋のゆくえ 〜ファビュラス・ベイカー・ボーイズ〜』

恋のゆくえ 〜ファビュラス・ベイカー・ボーイズ〜 恋のゆくえ 〜ファビュラス・ベイカー・ボーイズ〜
ミシェル・ファイファー (1998/05/25)
ハピネット・ピクチャーズ
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ミシェル・ファイファーが赤いドレス姿で、
黒いピアノに腰掛けて歌うセクシーな場面は、
映画史に残るものでしょう。

ちなみにタイトルにあるベイカー・ボーイズのベイカーは、
チェット・ベイカーにちなんでいると読んだ記憶が。

デイヴ・グルーシンによるサントラは、
グラミー賞を2つ受賞しています。

恋のゆくえ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 恋のゆくえ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
デイヴ・グルーシン、ミシェル・ファイファー 他 (2005/10/05)
ユニバーサルクラシック
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こちらもお薦めです。

チェット・ベイカーは生涯麻薬との縁を切ることが出来ず、
1988年に突然この世を去りました。
自殺とも他殺とも言われています。
写真家ブルース・ウェーバーが彼の生涯を映画化したのが、
次の作品です。
レッツ・ゲット・ロスト / チェット・ベイカー
【本】『美しい鹿の死』 オタ・パヴェル著
2006.02.06(Mon)
チェコでスポーツ記者として活躍した著者が、
自らの父親と家族について綴った連作短編集。
戦後チェコ文学のベストセラー。

美しい鹿の死 美しい鹿の死
オタ パヴェル (2000/02)
紀伊國屋書店

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昨日チェコ人の国民性について書いた。
知性と合理性とブラックジョーク、そして知恵。

この作品も同様の感性に貫かれているが、
『この素晴らしき世界』と全く異なる点は、明るさだ。

作品の主人公である著者の父親は、
とてもユーモラスで人間味に溢れている。
父親と周囲の人間を見つめる著者の視点もとても優しい。

そしてチェコの自然描写の美しいこと。
料理の名前もふんだんに登場、
どんな料理なのかと想像するのが楽しい。

しかし物語は第二次世界大戦前後を背景としており、
しかも著者の父親はユダヤ人。
ナチスに占領されたチェコで、
ユダヤ人である父親の心情が表された表題作が素晴らしい。

人間臭くユニークな父親を中心とする一家の物語を通して、
人生の喜怒哀楽を美しい文体で書き上げている。

著者はカレル・チャペックの再来と言われたらしいが、
人間に対する愛情、
物悲しい中でも明るいユーモアを忘れない点などは、
確かに相通ずるところがある。

気分が落ち込んでしまった時に、そっと取り出して読みたい本。
表紙の絵もとても魅力的だ。
【テニス】東レパンパシフィックオープン女子決勝エレーナ・デメンチェワvs.マルティナ・ヒンギス
2006.02.05(Sun)
ヒンギス残念。
昨日のシャラポワ状態でしたね。

大人の女性になって感慨深いと昨日書いたばかりなのに、
今日は感情を爆発させていて以前の「天才少女」そのもの。
思わず苦笑いしてしまいました。

相手が良すぎたこともあるけれど、ストローク戦で打ち負け、コースを狙いすぎてミス。
前に出ようとすれば抜かれると、プレイ振りも昔に戻っていたような。
サーブが入らなかったことも痛かった。
やはりパワー&スピードの前では苦しいか。
コンディション維持もまだ難しいのかな。

それでもやはり、ヒンギスのプレイスタイルは好みだ。
もっと見たい。

ぜひとも頑張って欲しいです。
【本】『この素晴らしき世界』 ペトル・ヤルホフスキー著
2006.02.05(Sun)
第二次世界大戦下、
ナチスに占領されたチェコの小さな美しい町。
ヨゼフとマリエ夫妻はユダヤ人青年を自宅に匿うが…。

この素晴らしき世界 この素晴らしき世界
ペトル ヤルホフスキー (2002/06)
集英社
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ナチス占領下のチェコでユダヤ人青年を匿うヨゼフとマリエ夫婦。
夫妻の元を度々訪れる怪しげな男。
夫妻の家の前の屋敷に移り住んできたドイツ人将校。
やがてやってくるロシア兵とパルチザン。

占領下から占領の終わり(それまで権力だったものが失墜し、
立場が正反対になる)という時代背景を利用して、
人間というものをクールに且つドライに描写している。

このチェコ人特有と思われる感性に、なかなか馴染めなかった。
特にマリエの妊娠に関しては嫌悪感で胸が悪くなったほど。
でもラストシーンの本来ならタイトル通りに美しい場面にすら、
作者の冷静で少しブラックな視点を感じた時に、
チェコ人の感性、私は意外と好きかも…と思った。

巻末に収録されている訳者のエッセイが必読。
大国に囲まれた小国の住人として、
生き延びるために理性と合理性を身に付けたチェコ人。
嫌悪感を持ったマリエの件に関しても、
このエッセイで納得がいった。

以前『カレル・チャペック童話全集』を読んだ時に、
童話であるのに、
「知恵」を働かせることの重要性を説いた話が多かったことが、
印象に残っていた。
チャペックもチェコ人である。

カレル・チャペック童話全集 カレル・チャペック童話全集
カレル チャペック (2005/05)
青土社
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理性と合理性とブラックジョーク(ユーモアではない)。
しばらくチェコ文学にはまりそうである。



この作品は映画化されている。まだ未見。
この素晴らしき世界 この素晴らしき世界
オンドジェイ・トロヤン、 他 (2003/02/21)
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
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訳者のエッセイに出てきたこちらの作品も見てみたい。
コーリャ 愛のプラハ コーリャ 愛のプラハ
ズディニェク・スヴィエラーク (2000/11/24)
ジェネオン エンタテインメント
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【スポーツ】東レパンパシフィックオープンテニス女子準決勝マリア・シャラポアvs.マルチナ・ヒンギス
2006.02.04(Sat)
心からテニスを楽しんでいるヒンギスの姿がとても良かった。
かつての天真爛漫な「天才少女」も、すっかり大人の女性になったなあと感慨深かった。

グラフ、サバティーニ、伊達の時代隆盛時に登場したヒンギス
ポニーテールの可愛い14歳の女の子だったが、そのプレイは老獪でテクシャン。
「天才」の名に相応しい選手だった。
16歳にして史上最年少で4大大会の内3大会を制し、
次世代の女王として長く君臨すると思われたのだが。

しかしその後ウィリアムズ姉妹、ダベンポートらの台頭により、
女子テニスはパワーテニス時代に突入。
パワーテニスに魅力を感じなかった私は、
ヒンギスに対抗して欲しいと切望していたものの、引退…。
・「パワーテニスに挑み敗れた女神」
http://www.ocn.ne.jp/sports/espa/venus/times/

それ以来テニスには興味を失ってしまった。
パワーテニスと共に広がった、露出度の高いテニスウェアも不快だった。
それでも、
パワーテニスに対抗出来る技巧派プレイヤーが出てきてくれないかなと思い続けていた。

まさかそれがヒンギスだとは。

今日のテニスは、パワーヒッターをいかに封じるかのお手本のようだった。
力ずくで相手をねじ伏せるのではなく、頭脳と技を駆使して相手を追い込むテニスは、
長らく忘れていたテニス観戦の楽しさを思い出させてくれた。

まだヒンギスが本当に通用するのかは分からない。
恐らくトップ5の選手には通じないような気がする
(今日の試合でトップ10選手に初勝利だけれど)。

それでも。

あれだけ「魅せて」くれる選手の復帰は貴重だと思う。
見ていて楽しいし面白い。

明日の決勝でも、いい内容のテニスを見せて欲しい。
テニスの決勝戦が楽しみなんて、何年振りだろう。
そして少しでも長く、現役を続けられるよう願っている。

・「東レPPO◇ヒンギスシャラポワを破り決勝進出」
http://news.tennis365.net/news/today/2006/02/04/04.html
・「復活印象づける快勝 注目の対決制したヒンギス
http://news.tennis365.net/news/quick/?GID=20060204_w40010s

これらの記事を読むと、ヒンギスは本格的にやる気のよう。
楽しみになってきた〜。