【本】『にんじん』 ルナール著
2006.08.16(Wed)
「にんじん」と呼ばれる少年のお話。

にんじん にんじん
Jules Renard、辻 昶 他 (1989/01)
旺文社
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カバーの「タンタン」風の可愛いイラストに惹かれて、
手に取った古本。
読んでびっくり。
カバーの可愛さとは正反対の内容だった。

主人公は「にんじん」と呼ばれるフランス人の少年。
赤毛とそばかすがその名の由来。
両親、兄、姉と、女中さんとで暮らしている。

「子供」と言えば純粋無垢な存在と思いがちだが、
著者にとっては違うらしい。
子供やその家庭の生態を、綺麗事抜きで赤裸々に描いている。
その描写が時に強烈で、引いてしまったことも何度か。

また、登場人物が皆あまりにも個人主義で驚かされた。
周囲の大人は子供を子供として扱わない。

フランスの子供は子供でいられる時期がないのかなと思った。
『地下鉄のザジ』といい、
周囲は子供を子供らしく扱わないし、
子供も自分で考え、知恵を働かせる。

『悪童日記』を思い出したが、
本作の方が100年以上前に書かれている。

にんじんの家族、ルピック一家は、
著者の実際の家族がモデルだそう。
偏執狂的な母親、そんな妻に手を焼く父親、
わがままでのんびりやの兄と優しい姉。
そんな一家で育った神経質で頭のいい少年の姿が、
浮かび上がって来る。

連作短編集だが、いい話だなと思うものよりも、
後味の悪いものの方が多かった。
100年前のフランスの家庭の生態を知ることが出来た点は、
面白かったが。