【本】『放浪記』 林芙美子著
2006.11.13(Mon)
「何のために旅をするとお思ひでせうけれど、兎に角、此ままの状態では、私はハレツしてしまひます。」
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いや、面白かった。
1922年(大正11年)に19歳でひとり上京後、
東京でどん底生活を送る著者の20歳代半ばまでの日記なのだけれども、
著者の生命力溢れる若々しさがとても魅力的だった。
生活の苦しさから社会に毒を吐いてみせたり、
好きでもない男に惚れられたり、好きな男に裏切られたり。
男なんて、と吐き捨てながらも、
真実(ほんと)に可愛がってくれる人が欲しいと呟いてみたり。
それでも男に食べさせてもらうことなど毛頭考えずに、
詩作を続けながら仕事にも男にも放浪する著者の逞しいこと。
何かあると放浪の旅に出る点もいい。
こういう女性が確かにいたのだなと嬉しくなってしまった。
尤も、著者にとっては本当に苦しい時代だったようだけれども。
口語のリズム感ある語り口や、日々の生活の描写の巧みさにも驚かされた。
20代でこういう文章が書けたとは。
大正時代の東京を生きた、文才のある女性の一代青春記。
その古さを全く感じさせない瑞々しさにエネルギーを貰ってしまった。
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