【映画】『フィラデルフィア』(ジョナサン・デミ監督作品 1993年)
2007.02.24(Sat)
人間には何が必要なのかということを、静かに語りかけてくる作品です。

フィラデルフィア デラックス・コレクターズ・エディション フィラデルフィア デラックス・コレクターズ・エディション
トム・ハンクス (2006/11/29)
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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この映画はとても好きな作品で、テレビ放映されると必ず見てしまいます。

ストーリーは、トム・ハンクス演じる若いやり手弁護士アンドリューが、
HIV感染による不当解雇に対して会社を訴える、というもの。

HIVが世間一般に知られ始めた当時の新しい病気と同性愛者に対する強い偏見、
それに対して人々がどのような反応を示すか、
そして人間にとって大切なこととは何なのかを、
声高にではなく静かに訴えかけてきます。

この作品に私が最も惹かれるのは、
監督が人間の理性と良心を信じている、という点です。

アンドリューに協力することになる、
デンゼル・ワシントン演じる町の弁護士ジョーも、
最初はHIVと同性愛者に対する偏見から弁護依頼を断ります。
しかし、図書館で一人調べものをしているアンドリューがHIV患者だと周囲に気付かれ、
個室を使ってもらえないかと司書に言われた場面を見た瞬間、
ジョーはアンドリューの弁護を引き受けることを決意するのです。
このシーンは人間の良心を信じる監督の意向がよく表れていて、とても好きなところです。

映画の半分以降はアメリカ映画お得意の裁判劇となっていきます。
考えさせられる台詞の応酬で見応えがありますが、
私にとってはそんな裁判劇の間に挟まれるエピソードの方が心に残ります。

理解あるアンドリューの家族と、
アントニオ・バンデラス演じる献身的な恋人ミゲール。
最も印象的なのが、終始冷静なアンドリューが、
マリア・カラスの歌声をバックに初めて「生きたい」と訴えるシーン。
この場面は圧巻です。

そして映画を通して伝わってくるのは、
差別や偏見をやめましょう、なくしましょう、ということではなく、
人間にとって最も必要なものは、「愛」だということ。
文章として書くと陳腐になってしまいますが、
このことが本当にじんわりと浸み込んでくるのです。

だからこそ、
何年たってもこの映画は古くなることなく、
何度も見返したくなる作品となっているのだと私は思っています。