【本】『花火』 パトリック・ドゥヴィル著
2007.04.29(Sun)
ぼくはいつでも人生を導火線のようなものとみなしてきた―ときおり火の粉をきらきらと放ちながらも、たいていは味気なく人目にも立たずに燃え尽きていくのだ
花火 / パトリック ドゥヴィル

フランス人の「ぼく」とルイとジュリエットは、
フェラーリ、プジョー、メルセデスと車を乗り継いで、ひたすら驀進する―。
今のこの世界に生きることの倦怠感と苛立ちがよく伝わってくる。
自分の人生など一瞬の花火のようなもの、
だったら好きなようにしたい、この世界から出て行きたい―。
だから主役の3人組は車を飛ばし、国を越え、行った先では好き放題をする。
それでも結局、彼らは気付いてしまうのだ。
どこまで行ったところで、
この人生から、この世界から抜け出すことなど出来ないということに。
ちょっとやさぐれた村上春樹のような文章。
こじゃれた言い回しにこじゃれたアーティスト名や製品名が挿まれる。
ところが読んでいくうちに、これは映画だな、と。
場面場面がぶつ切りでストーリーが繋がっていくところや、
「スミレとサクランボの色が爆発したような」とか、
「藤色と紫水晶色が流れだしている」など、
色の説明が多いことからも、映像が目に浮かぶようだった。
実際、映画にしたらいいのではないかと思った。
単館上映で自称映画通の若者が好みそうな作品になると思う。
かなり不親切な小説ではあるし、
こじゃれた感じがいささか鼻に付くものの、
フランス映画の佳品を見たような感じでなかなか面白かった。
【雑誌】『月刊 flowers (フラワーズ) 2007年 06月号』 小学館
2007.04.27(Fri)
創刊5周年記念リニューアル特大号!!
![]() | 月刊 flowers (フラワーズ) 2007年 06月号 [雑誌] (2007/04/28) 小学館 この商品の詳細を見る |
リニューアルした表紙はレディースコミックのようです。
前のFSマークの入った方が若々しい上に見つけやすくてよかったな。
では感想など。
『羽衣ミシン』小玉ユキ
…予想通りの展開ながら、絵の魅力で読ませますね。
この人の絵柄は本当に好きです。
この先あっと言わせる展開を希望していますが…。
『風光る』渡辺多恵子
…こんな沖田総司嫌だ。とにかく話を進めて欲しいです。
『しろくまカフェ』ヒガアロハ
…ああまた韻ふみギャグに後戻り。
絵は文句なく可愛いので、あとはストーリーですねえ。
『夕暮れバス』岩館真理子
…これぞ猫バス。
『暁のARIA』赤石路代
…ありあと夏王が恋に落ちることが出来るフラグが立った?
『7SEEDS』田村由美
…映画のようで面白いですが読むと息苦しくて疲れます。
新巻さんファンなのですが、この人最後に花を助けて…、
いう運命を辿るような気がします…。
『町でうわさの天狗の子』岩本ナオ
…苦しい舞台設定。連載のようなのでこれからどうなるか。
作者にふさわしいテーマやストーリーが見つかるまでは、
しばらく迷走状態が続くのかも。
『たんぽぽの綿毛』小沢真理
…春の野原はいいですね。たんぽぽの腕時計はやってみたいです。
『電波の男よ』西炯子
…インターネット全盛の現在でもハムは健在なのかな。
病気ネタは勘弁だけれど、次回が楽しみ。
『LEGAの13』やまざき貴子
…初めて面白くなりそうだと思いました。
でも絵もストーリーも整理整頓すると、もっと良くなると思います。
『諸葛孔明 時の地平線』諏訪緑
…時間経過が全く感じられない点が最大の難点だと思います。
『ドリームランドEXP.』大竹サラ
…演奏しながら世界を回って料理も作る。いいなあ、こんな生活。
『ろまんが』新井理恵
…恋愛路線は失敗だったと思います。
『桜の国のわたしと霧の国のわたし 前編』名香智子
…どう収集をつけるのかが楽しみです。
『眠り籠』奈知未佐子
…今回はもうひとつでした。
『デレクとハナのシネマのレシピ』遠藤佳代
…つまらないエッセイよりも漫画を読みたいです。
【別冊ふろく『フラワーZOO』】
…ヒガアロハ、清原なつの、萩尾望都、吉田秋生、岩舘真理子、高倉あつこ、吉野朔美、
奈知未佐子、田村由美、松井雪子、大竹サラ、小玉ユキ、奈々巻かなこ、荒木淳子、
柘植かおる、岩本ナオ、さいとうちほのエッセイや短編が収録されています。
すべて動物に関連した作品です。
岩舘真理子は以前掲載していた「ドラララらん♪」、
大竹サラも懐かしい「サバンナEXP.」です。
田村由美には「とらじ」を描いて欲しかったなあ。
しかし一番良かったのは、冒頭と最後を飾る「しろくまカフェKIDS」です。
かーわーいーすーぎー。
いやもう堪りませんでした。この絵は反則。
来月号の注目はさいとうちほの新連載でしょう。
フィギュアスケートのアイスダンスの物語「アイスフォレスト」だそうです。
フィギュアファンとしては楽しみです。
さらに別冊ふろく第2弾として、「flowers占星術図鑑」が付くそうです。
鏡リョウジと萩尾望都の対談があるそう。こちらも楽しみ。
★「月刊flowers」
http://flowers.shogakukan.co.jp/fla_top01.html
【映画】「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」(ケリー・コンラン監督作品 2004年)
2007.04.26(Thu)
アクションものだと思っていたら、ラブコメでした…。![]() | スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 初回限定スペシャル・プライス版 ジュード・ロウ (2005/05/25) ジェネオン エンタテインメント この商品の詳細を見る |
舞台は1939年のニューヨーク。
著名な科学者連続失踪事件を追いかけていた女性記者ポリーは、
危機一髪のところを“スカイキャプテン”ジョーに救われます。
好き合いながらも素直になれない二人ですが、
結局共に事件を追いかけることに―、という内容。
1939年という時代設定に合わせたような、
セピア色で乳白色に輝く映像はとても美しく、惹き込まれました。
時代に合わせた服装や髪型、カメラなども好みでした。
レトロかつクラシックな雰囲気でありながら、
ロボットや戦闘機などは未来的になっていて、
そのミックス具合もとても良かったと思いました。
問題は内容です。
何の中身もないアメコミのようなストーリーでした。
“スカイキャプテン”というタイトルだけに、
冒険活劇、特に戦闘機のファイトを期待していたのですが、
全くの期待外れであったことが一番の不満点でした。
主人公ジョーを演じたジュード・ロウは、
顔が大きいのか小柄なのか、
そのプロポーションではアクションものの主人公は辛いものがあるな、と。
美形ではあるのですけれども、ヒーロータイプではないですね。
また、グウィネス・パルトロー演じるポリーが典型的なアメリカ人ヒロインで、
その我の強さと頭の悪さにはうんざりさせられました。
そんな二人がひたすらツンデレのラブコメ状態を続けるのですが、
そのコメディのセンスに付いていけませんでした。
ベタすぎて笑えない…。
ラストなんてもう映画館で見ていたら座席を蹴り上げて出て行ったかも。
チラッと出てくるアンジェリーナ・ジョリーは、
あまり軍人に見えなくてもう一つでした。残念。
顔もむくんでいるように映っていましたし。
でも彼女がジョーを助ける飛行シーンだけが、
アクションシーンとしては唯一楽しかったところかもしれません。
やはりカッコいいです、この人は。
内容は突っ込みどころ満載で不満しか残りませんでしたが、
逆にギャグ映画だと思って突っ込みを入れまくりながら見れば楽しいかも。
そして何より映像がとても美しかったです。
これだけが救いでしたし、魅力になっていたと思います。
衣装を担当したのはステラ・マッカートニーだそうです。
★「Gyao」にて無料放送中(5月1日まで)
http://www.gyao.jp/
【雑誌】『NHK ラジオ 英会話上級 2007年 04月号』 日本放送出版協会
2007.04.23(Mon)
なかなか面白いです。![]() | NHK ラジオ 英会話上級 2007年 04月号 [雑誌] (2007/03/14) 日本放送出版協会 この商品の詳細を見る |
『NHK ラジオ徹底トレーニング英会話 2007年 04月号 [雑誌] / 』は、
いかにも英会話講座風のベタな乗りが好きになれず、
『NHK ラジオビジネス英会話 2007年 04月号 [雑誌] / 』は、
講師のあっさりした口調と番組内容はいいものの、
ビジネス英語は使わないし…と、
フィットする講座が出来ないかなと思っていました。
そんな中、この番組が登場。
なかなか面白いです。
テキストの内容がいいのですよね。
今月号は「日本人と英語」がテーマとなっていますが、
かなり参考になります。
会話よりもリスニングの勉強になるような気がしますね。
次回が楽しみな講座というのは久し振り。
来月は「食文化」がテーマです。
| NHK ラジオ 英会話上級 2007年 05月号 [雑誌] (2007/04/14) 日本放送出版協会 この商品の詳細を見る |
それにして今年度のNHKの語学テキストのデザインは、
思い切りましたね。
すべてのテキストを同色に揃えました。
初めて書店で見た時には驚きましたよ。
来月は紫色。次は何色がくるのでしょう。
★NHK出版「英会話上級」(視聴も出来ます)
http://www.nhk-book.co.jp/text/gogaku/e05_r_joukyu.html
【その他】「フラワーオイルランプ」
2007.04.22(Sun)
「母の日のプレゼントにどうぞ」だそうだけれど、自分用に欲しい…。「フラワーランプオイル」なんて初めて見ました。
手作業でお花を入れていて、火を灯すと優しく香るのだそうです。
フランス製ですが、あちらではよくあるものなのかしら。
見た目も良いし、香りにも興味あるなあ。
買っちゃおうかな。
【本】『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ著
2007.04.17(Tue)
かわそうな子たち
![]() | わたしを離さないで カズオ イシグロ (2006/04/22) 早川書房 この商品の詳細を見る |
物語は「介護人」キャシー・Hの独白という形で始まります。
子供時代から思春期、そして現在までが語られるのですが、
読み進むうちにキャシーと読者は何かがおかしい、
ということに気付き始めます。
そして少しずつ謎が解明されると同時に、また新たな謎が。
この辺りの構成はとても巧く、先を読みたいと引き込まれます。
そして明かされる真実は、
著者特有の抑制された静かな語り口であるがために、
なおのこと強烈に響いてきました。
最後まで淡々とし、諦観してしまっているようなキャシー。
人間とは、人生とは何なのだろうと考えさせられました。
【本】『ガラクタ捨てれば未来がひらける』 カレン・キングストン著
2007.04.15(Sun)
風水浄化術入門
![]() | ガラクタ捨てれば未来がひらける カレン・キングストン (2005/11/06) 小学館 この商品の詳細を見る |
著者カレン・キングストンは、
建物内のエネルギーや、
配置されている家具などの波動を読み取ることが出来るそう。
その能力に加えて、
更に風水と「スペース・クリアリング=空間の浄化」を研究し、
建物のエネルギー浄化の先駆者となっています。
この本では著者が自分の能力に気付くまでとそれから、から始まり、
順を追って丁寧にスペース・クリアリングと風水を行う方法と、
その理由についての説明と解説をしています。
1冊目の本、
『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門 / カレン・キングストン、田村 明子 他』
では、スペース・クリアリングの最初にすることとしての、
ガラクタの処分の重要性について書かれています。
風水といえばどこの方角に何を飾る、というイメージを持っていましたが、
飾る前にまず不用品を捨てなさい、
という考え方には目からウロコが落ちました。
不必要な物の処分に熱が入ったのはこの本がきっかけでした。
その次の2冊目ということでこの本を手にしましたが、
1冊目よりもかなり専門的です。
ガラクタを処分した後の清めの儀式に特に焦点が当てられているのですが、
ズボラな私はドン引きしてしまう内容になっています(苦笑)。
1冊目の本を読んで、
本格的にスペース・クリアリングと風水に興味を持った方には、
面白い内容なのではないでしょうか。
とりあえず、まずスペース・クリアリングとは何だろう、と思われた方には、
1冊目をおすすめします。
掃除の楽しさを教えてくれた本でした。
| ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門 カレン・キングストン、田村 明子 他 (2002/04) 小学館 この商品の詳細を見る |
【本】『海の上のピアニスト』 アレッサンドロ・バリッコ著
2007.04.14(Sat)
きみたち陸の人間は、どうやって自分の進むべき正しい道を見分けるんだい?
![]() | 海の上のピアニスト アレッサンドロ バリッコ (1999/11) 白水社 この商品の詳細を見る |
豪華客船ヴァージニアン号の楽団でトランペットを吹く「わたし」は、
時化で大揺れの船の中をダークスーツ姿で優雅に歩く男に出会う。
彼こそがこの船の中で育った天才ピアニスト、
生まれ年にちなんで「ノヴェチェント」と名づけられた青年だった―。
ストーリーは一人芝居の戯曲風に進んでいきます
(元々舞台の戯曲として書かれたものだそう)。
これが大変効果的だったと思いました。
場面が目に浮かび、音楽が聞こえてくるよう。
「海の上」も魅力的に描かれています。
「わたし」とノヴェチェントが出会った時の、
船の揺れを利用したシーンなど印象に残りました。
そんな船で生まれ船で育ち、陸の上を知らないノヴェチェントですが、
遂に陸から海が見たいと船を下りることを決意します
(ノヴェチェントにそう決意させる船員の話がとても良いです)。
ノヴェチェントはタラップを降りていきますが…。
ラストをどう考えるかは、読んだ人に任されています。
短い小説ですが、小粒でもぴかりと光るものがありました。
映画化されており、そちらの方が有名でしょう。
未見でしたが、ぜひ見ていたいと思いました。
この雰囲気をどう映像化しているのか、非常に興味が沸きました。
![]() | 海の上のピアニスト ティム・ロス (2004/04/23) パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン この商品の詳細を見る |
【本】『コレラの時代の愛』 ガブリエル・ガルシア=マルケス著
2007.04.12(Thu)
永遠の愛というのは存在する
![]() | コレラの時代の愛 ガブリエル・ガルシア=マルケス (2006/10/28) 新潮社 この商品の詳細を見る |
コレラと内戦が充満した、
20世紀と21世紀をまたぐ時期のカリブ海の地方都市が舞台。
フロレンティーノ・アリーサは初恋の相手にして自分を捨てた女性、
フェルミーナ・ダーサを51年9ヶ月と4日待ち続ける。
そして―。
読み始めはガルシア=マルケス特有の、
あのうねるような文体ではないことに驚かされました。
でも読み進むうちにあの独特の口調となっていき、あとは一気に読ませられました。
著者お得意の南米の様々な光景の描写は相変わらず魅力的でしたし、
語る人が次から次へと変わっていくのも相変わらずで、
ページを捲るのが楽しかったです。
主人公ふたりのそれぞれの人生を延々と描いた後、
最後にそんなふたりが共に船旅をすることになるのですが、
正直このふたりがまた一緒に行動するようになる理由が、
私には分かり辛かったです。
そこだけがちょっと不満。
あと読んでいて強く感じたのが、著者の「老い」への想いです。
この作品が出版された時、著者は58歳。
最近「もう若くないのかな…」と感じ始めている身には、かなり痛かったです。
でもだからこそ、ラストの3行が光るのですよ。
『百年の孤独 / ガブリエル ガルシア=マルケス』や、
『族長の秋 / G. ガルシア・マルケス』のような壮大な話ではありませんが、
著者の描いた「永遠の愛」の物語です。
【雑誌】『ダ・ヴィンチ 2007年 05月号』 メディアファクトリー
2007.04.07(Sat)
特集記事の内容をもう少し考えて下さい…。![]() | ダ・ヴィンチ 2007年 05月号 [雑誌] (2007/04/06) メディアファクトリー この商品の詳細を見る |
今月号の目次は以下の通りです。
http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php
特集1の「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中」は、
同名のテレビ番組の宣伝で面白くありませんでした。
最後に取ってつけたように本に関係したマニフェストを挙げていましたが…。
特集2の「あの人の書いた小説を読みたい」も、
そんな話は内輪でしておいて下さい、といったところ。
内容も面白くないですし。
何だか読むところがなくなってきましたよ。
特集はもっと本に関係したことにして欲しいなあ。
唯一面白かったのが、山岸凉子連載再開の「ヴィリ」。
あっと驚く今回の締め(苦笑)。
相変わらず山岸さんは人間のドロドロした面を描くことがお好きなようで。
この先の展開が楽しみです。
あと読み飛ばしている「ブンゲイ ダ・ヴィンチ」の各作品ですが、
本谷有希子の「乱暴と待機」だけ読み続けています。
舞台の小説化だそうですが、小説というよりは戯曲風で、
なかなか読ませます。
その舞台は映像化されている模様。
http://www.e-oshibai.com/ranbou/#special2
来月号の特集は「よみがえる都市伝説」だそう。
これはなかなか面白そうですが、やっぱり本からは離れているような…。
★「WEBダ・ヴィンチ」
http://web-davinci.jp/
以下は紹介されていた本で面白そうだなと思った本(自分用メモ)。
| 花宵道中 宮木 あや子 (2007/02/21) 新潮社 この商品の詳細を見る |
| 僕はマゼランと旅した スチュアート・ダイベック (2006/02/28) 白水社 この商品の詳細を見る |
| チロルチョコ official book (2007/02) ワニブックス この商品の詳細を見る |
「きなこもち」をまた発売して欲しい…。
| 下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち 内田 樹 (2007/01/31) 講談社 この商品の詳細を見る |
| 大聖堂 レイモンド・カーヴァー (2007/03) 中央公論新社 この商品の詳細を見る |
もう一度読み返したいです。この作品はとても好き。
| まんがキッチン 福田 里香 (2007/03/22) アスペクト この商品の詳細を見る |
少女マンガから選んだスイーツのビジュアルブックだそう。
萩尾望都ら4人の漫画家との対談もあるそうな。面白そう。
【本】『アウステルリッツ』 W・G・ゼーバルト著
2007.04.05(Thu)
とこしえの沈鬱のなか、
忘却に逆らって破壊と惨禍のあとを見つめつづけるその眼差し
![]() | アウステルリッツ W・G・ゼーバルト (2003/07/25) 白水社 この商品の詳細を見る |
「私」が建築史研究家のアウステルリッツと知り合い、
彼の幼少時から現在に至るまでの独白を聴く、
というスタイルになっている物語です。
段落もなくぎっしりと文字が詰まったページが表すように、
アウステルリッツの独白は延々と続くのですが、
その博識振りと記憶の細かな描写でぐいぐいと読ませます。
英国人夫妻の養子として育ったアウステルリッツは、
自分の失った過去を探しにヨーロッパを旅して回ります。
忘れ去られた過去を1つ1つ見つけ出すアウステルリッツ。
その虚しさと幸福感。
客観的でありながら、どこか怨念を感じさせるような不思議な雰囲気と共に、
過去は現在も生きている、過去を忘れ去ってしまうな、
というメッセージが伝わってきました。
本の中に幾つもモノクロの写真が掲載されていて、
それが“見つめる眼差し”を表すのにとても効果的で、印象に残りました。
こういうタイプの小説は初めて読みました。
他の作品も読んでみたいと思いましたが、
散文4作品を残して著者は既に亡くなっているとのこと。
残念です。
【本】『ノルウェーの汀の物語―ディーナの愛〈下〉』 ハルビヨルグ・ヴァッスムー著
2007.04.03(Tue)
わたしが誰だか分かる?あんたはわたしを知っている?
![]() | ノルウェーの汀の物語―ディーナの愛〈下〉 ハルビヨルグ ヴァッスムー (1998/08) 集英社 この商品の詳細を見る |
主人公ディーナは4歳で母を悲惨な死に追いやる原因を作ってしまい、
地方判事で大地主の父に疎まれ小作人の家で育ち、奔放な性格を持っている。
15歳で父の親友に嫁ぎ、その後嫁ぎ先の大商家の女主人として君臨する―。
というのが上巻。
子供の頃に大きな心の傷を抱えてしまったという事情があっても、
ディーナには感情移入出来ずじまいだった上巻。
この下巻ではどうなるかと思ったのですが…。
やっぱり駄目でした。
野生児ディーナも年齢を経るにつれ“大人”になっていくのですが、
弱いものにひどく優しい態度を取るかと思えば、
自分のエゴを律しきれずに残忍さを剥き出しにするところは相変わらず。
この振り幅の激しさについていけませんでしたし、
人間としても何の魅力も感じられませんでした。
ディーナが子供時代に受けた深い傷が、
彼女の性格に大きな影響を与えていることは、
ディーナが旅先で出会った牧師夫妻を見て初めて「愛」というものを知った、
という描写で分かります。
これでディーナに何らかの変化が現れるのかと思ったのですが、
あのラストは…。
結局著者が何を言いたかったのかがさっぱり分かりませんでした。
北の果ての寄港地の女主人。
男達よりも頭半分背が高く、長い髪をピンで留めず、周囲を圧倒し、
鞍のない黒馬を駆り、パイプをくゆらせる女主人。
そんな女主人の“百年の孤独”、という感じのかなあ。
北欧の雰囲気漂う食卓の風景は料理好きとしては良かったです。
【本】『ノルウェーの汀の物語―ディーナの愛 (上)』 ハルビヨルグ・ヴァッスムー著
2007.04.02(Mon)
わたしはディーナ
![]() | ノルウェーの汀の物語―ディーナの愛 (上) ハルビヨルグ・ヴァッスムー、佐々田 雅子 他 (1998/08) 集英社 この商品の詳細を見る |
ノルウェーでベストセラーになった小説ということで、読んでみました。
ノルウェーの小説を読むのはこれが初めてです。
舞台は十九世紀のノルウェー。
主人公ディーナは4歳の時に母を悲惨な死に追いやる原因を作ってしまい、
地方判事で大地主の父に疎まれ小作人の家で育ちます。
そんな環境が原因なのか、ディーナは破天荒な性格の持ち主に成長します。
そしてディーナは15歳で父の親友の元へ嫁ぐことになるのですが―。
うーん、正直なところこのディーナに全く感情移入が出来ません。
読んでいて彼女の取る行動の理由や心理が全く分からないのです。
「わたしはディーナ。」で始まるディーナの心情を語る文章が挿入されはするのですが、
勿体ぶった書き方なので何がなにやら。
そんな訳なので、ディーナには全く魅力を感じることが出来ず、
むしろ彼女に振り回される周囲の人々の方に感情移入してしまいます。
スカーレット・オハラのアマゾネス版、といった感じのディーナ。
でもスカーレットには無知からくる可愛げがまだありましたが、
ディーナはもっと骨太で逞しく、良くも悪くも知恵があるのです。
上巻の最後にレット・バトラーのような男性が登場します。
周囲の男性など虫けらのように扱ってきたディーナが、
初めて自分から興味を持っている様子。
この先ディーナに好感を持てるようになるのか、
ストーリーはどうなっていくのか、
下巻を読むのがなかなか楽しみではあるところです。
| Home |


![月刊 flowers (フラワーズ) 2007年 06月号 [雑誌]](http://ec1.images-amazon.com/images/I/31w0fBqZn4L.jpg)

![NHK ラジオ 英会話上級 2007年 04月号 [雑誌]](http://g-ec2.images-amazon.com/images/I/216MymfLTrL.jpg)





![ダ・ヴィンチ 2007年 05月号 [雑誌]](http://ec1.images-amazon.com/images/P/B000OIOH6Q.01._SCMZZZZZZZ_V23564619_.jpg)








