【本】『サイレント・ジョー』 T・ジェファーソン・パーカー著
2008.04.30(Wed)
あなたがわたしのような顔と血にまみれた手と、誰かを愛せるほど熱く燃えることも誰かを殺せるほど冷たくもなれる心を持った人間だったらどうする?隣に座った者に何と言う?
![]() | サイレント・ジョー (ハヤカワ文庫 HM) (2005/09/22) T・ジェファーソン・パーカー 商品詳細を見る |
主人公ジョーは、カリフォルニアで昼は保安官補として刑務所の看守を、
夜は郡政委員である養父のために働いてる24歳の男性。
生後9ヶ月で実父に硫酸を顔にかけられるという虐待を受け、顔の半分に醜い跡が残ったまま。
しかし彼を引き取った養父母は心からジョーを愛し、慈しんで育て上げた。
そんなある日、誘拐された少女の身代金と引き換えに出向いた先で、
養父は武装した男達に襲撃されて殺される。
ジョーの目の前で。
誘拐されていた少女を逃すことしか出来ず、
敬愛する養父を守れなかったことを悔いるジョーは、
独自に犯人探しを開始、養父の復讐を果たそうとする―。
一人の青年の成長物語です。
復讐のための調査を始めるにつれて、
ジョーはこれまで見えていなかった世界を見ることになります。
政治の裏側、権力者達の裏の顔、尊敬していた宗教の師の素顔、
そして心から信頼し切っていた養父の別の姿。
養父を殺害した犯人探しというミステリー要素よりも、
ジョーが一人前の男性となる過程に焦点が当たっています。
ジョーが完全無欠すぎる点と、
最後に判明するジョーの出自が取って付けたような感じでどうかなと思いましたが、
読後感の良い作品ではありました。
アメリカではこういう過程を経て大人になっていくと考えられているのだな、
という点でも興味深かったです。
【雑誌】『月刊 flowers (フラワーズ) 2008年 06月号』 小学館
2008.04.26(Sat)
今月号は読み応えがありました。
![]() | 月刊 flowers (フラワーズ) 2008年 06月号 [雑誌] (2008/04/28) 不明 商品詳細を見る |
今月号の内容はこちらからどうぞ。↓
http://flowers.shogakukan.co.jp/fla_top01.html
以下感想など。ネタバレを含みますので、ご注意を。
『夜のロジック』 草間さかえ
…「目の覚めない時計」が欲しいという小学生の男の子と、時計店の若主人の話。
サラッと描かれている絵柄は少女マンガには珍しいですが、好みです。
この人意外と面白くなるかも。化けて欲しいです。
『暁のARIA』 赤石路代
…大道寺再登場。ありあと北山を海外へ、と意思表示。
夏王はありあを想っていますが、紅子が夏王を諦めていない模様。もう一波乱あり?
婀娜っぽい音楽教師がありあに課題を出し、以下次号。
ある意味少女マンガの王道のメロドラマ。何も考えずに楽しめますな。
『女神様と私』 波津彬子
…ひ弱な生まれたての子猫を引き取り育てるイーディスと、彼女を守る子猫の話。
いつもの波津ワールドです。偉大なるワンパターン。
『三塔物語』 よしまさこ
…横浜に住むシングルマザーの主人公は、学生時代の友人に再会します。
恵まれた境遇の友人を見て落ち込む主人公は、願いがかなうという“三塔めぐり”に出ます。
幸も不幸も自分の視点次第、という話ですが、よく出来ていて良かったです。
『町でうわさの天狗の子』 岩本ナオ
…秋姫修行編。タケルとの仲もちょっと進展?
登場人物が皆キャラ立ちしてきていていい感じ。今回もとても楽しかったです。
『7SEEDS』 田村由美
…休戦継続中。花は安居、涼と共に春秋冬混成チームに戻り、
小瑠璃と鷭が大活躍。コウモリ退治。
涼が花のアーミーナイフを見詰めるシーンが。父親バレフラグ?
安居は花達に「一緒に住め」。さあどうなる。
面白かったですー。次回が楽しみ。
『風光る』 渡辺多恵子
…勘定方河合さん話の続き。久々に斎藤一登場。
相変わらずセイがウザイです。河合さん話を引っ張ったまた、次回は8月号。河合さん…。
『花帽子』 奈知未佐子
…帽子をかぶると良いワニになるワニの話。可愛いです。
『しろくまカフェ』 ヒガアロハ
…お花屋さんにイケメン店員登場。
最後のパンダくんは“ふるふる”ではなく“ぽっ”にして、一気に腐女子話に…いくわけないか。
絵が可愛くて、本当に癒されます。
『シネマのレシピ』 遠藤佳世
…今月のテーマは「花」。
今回は割とまともなチョイスだったかと。
『マダムGの館』 グレゴリ青山
…こちらも今回取り上げたのは「花」。普通。
『LEGAの13』 やまざき貴子
…先月号に登場したトルコ人商人の話の続き。妹との切ない物語。
もう本筋がどうなっているのかを思い出すことは放棄。
短編として読んでいます。今回は何とか読めました。
『フラワーズ・バースデイ・フェスタ』
…フラワーズ創刊6周年を記念した、「花」をテーマにした漫画家からの特別投稿ページです。
短編が全21本。まあ、それなりに…。
田村由美さんは『7SEEDS』の花を登場させています。
『夢日記』 紫門ふみ
…今回は「予知夢」について。…つまらないのですが…。
『アイスフォレスト』 さいとうちほ
…一己とユリアが衝突、雪野もユリアと衝突、ユリア傷心帰国。
自信満々の一己に対して、不安になる雪野とロマン。
生徒にちゅーさせちゃいかんだろ、ユリア。
『坂道のアポロン』 小玉ユキ
…険悪だった薫と千太郎は仲直り。淳から二人にジャズライブ出演依頼。張り切る薫と千太郎。
薫は百合香を好きだと思っている律子に、自分の気持ちをピアノで伝えてみようかと。
“But Not For Me”は、Chet Bakerのボーカルが大好き。
![]() | チェット・ベイカー・シングス (2006/06/14) チェット・ベイカー 商品詳細を見る |
“Someday My Prince Will Come”は、こちらも大好きなBill Evans Trioのもの。
![]() | ポートレイト・イン・ジャズ (2007/04/11) ビル・エヴァンス 商品詳細を見る |
この2枚とも大名作。そして私の愛聴盤です。ぜひ聴いてみて下さい。
『タンタン歳時記』 星野正美
…こちらも今回のテーマは「花」。花のイラストが沢山あるのはいいのですが、
花より猫の絵の方を大きくしていることに疑問が…。
『恋ひうた』 江平洋巳
…弾正宮に再会した許子。
この作者は苦手でしたが、この作品は読めそうな気がしてきました。
今月号はほぼ全作品ハズレなし、という印象で、とても読み応えがありました。
創刊6周年記念ということで「花」を取り上げた作品が多く、
まさに華やかな雰囲気だったのも良かったと思いました。
次号予告はこちらからどうぞ。↓
http://flowers.shogakukan.co.jp/magazine/magazine_162.html
来月号の目玉は、岩館真理子と萩尾望都でしょうか。
でも萩尾さんのレオくんシリーズはなあ…。
個人的には草間さかえも楽しみです。
★月刊flowers
http://flowers.shogakukan.co.jp/
【本】『アメリカにいる、きみ』 C・N・アディーチェ著
2008.04.23(Wed)
わたしたちはまた、ナイジェリア人になっていた。
![]() | アメリカにいる、きみ (Modern&Classic) (Modern&Classic) (2007/09/21) C・N・アディーチェ 商品詳細を見る |
ナイジェリア出身で、現在はアメリカの大学に在学している、
1977年生まれの女性が描いた、短編集です。
内容は、ナイジェリアからアメリカやイギリスに渡った女性の話と、
ナイジェリアの内戦の様子を描いた話がほとんどです。
アフリカ人が欧米で受ける偏見、
女性が男性から受ける偏見、
同じ国に異なった民族、違った宗教を信じる人々がいるということ、
それらの人々が争うということ―。
声高に訴えるのではなく、あくまでも静かに、淡々と語り続けます。
最も印象に残ったのは、
『半分のぼった黄色い太陽』という作品です。
ナイジェリアの三大部族の一つであるイボ族が独立しようとしたことから始まった、
ビアフラ戦争を描いたものです。
著者はイボ族の出身。
実際に戦争を経験してはいませんが、書いておかないといけないと思ったようです。
若い女性を主人公として戦争前から戦争後までを描いているのですが、
戦争の悲惨さと虚しさが、深く静かに伝わってきました。
本書のあとがきにおいて、
訳者は著者のストーリーテラーとしての素晴らしさを強調していましたが、
ストーリーテリングの能力よりも、
著者の若い女性としての深い洞察力と、冷静な視点の方が印象に残りました。
【本】『世界不思議百科』 コリン・ウィルソン+ダモン・ウィルソン著
2008.04.21(Mon)
「すべて見て分かった」と思った時、その人間は死に始める。
![]() | 世界不思議百科 (2007/02) 関口 篤、コリン・ウィルソン 他 商品詳細を見る |
「自然」「幻獣」「歴史」「事件」「超自然」「超心理」の6つの分野に分け、
それぞれのジャンルの“不思議な話”を検証している内容です。
アトランティス大陸、ネッシー、ジャンヌ・ダルクの蘇り、
ポルターガイスト、タイプスリップ、シンクロニシティ等々。
最初の4つのジャンルの“不思議話”の検証はそれぞれ、
「へえー」や、「なんだー…」など、素直に楽しめました。
「聖杯発見」など、『ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット』のネタはこれなのか、とか。
でもそれ以上に面白かったのが、
人間についての話、最後の「超自然」「超心理」のジャンルでした。
「錬金術」に宗教的意味があることや、
「UFO」の謎に「精霊」が関ってくるなど、初めて知ることが多くて興味深かったです。
「歴史と文化の黒幕 神秘の人びと」も、
人類の歴史は人類よりももっと高度な頭脳をもつ地球外の人びとの関与を受けていて、
これまでの歴史に登場した偉人達が彼らの使命を知らずと受けている、
というような話も楽しかったです。
『百億の昼と千億の夜 (角川文庫―リバイバルコレクション エンタテインメントベスト20)』みたいですな。
でもこの本が言いたいことは、「もっと右脳を使え!」ということでしょう。
左脳が言語や論理を扱う科学者、右脳が直感や洞察を扱う芸術家、
という役割なのはよく知られていますが、
現在の日常生活では左脳ばかりを使って生活しているそうです。
もっと右脳と左脳との往来を活発にすることの大切さ、
その方法、そうすればどうなるかを、この本は表しているように感じました。
取り上げられている多くの“不思議話”は、
右脳を使うことへの刺激、きっかけとなるものだと思います。
人間が従来の習慣の束縛から抜け出し、周囲の「日々のカーテン」をひきちぎる精神の力業を学ぶと、そこにはかならず驚異の広大なパノラマがひらけてくる。(略)本書になんらかの位置づけが必要とすれば、このカーテンの向こう側にひろがるパノラマのほんのいくつかを、おずおず垣間見るということであろうか。
【食】明治製菓 明治リッチ温州みかんチョコレート
2008.04.19(Sat)
明治製菓リッチシリーズ新作!
お気に入りの「明治リッチストロベリーチョコレート」。
仲間が新発売されましたよ。
「明治リッチ温州みかんチョコレート」。
なんと、「みかん」です。
早速購入。パッケージを開くと、おお、黄色い板チョコだ。
食べてみましたが。
…微妙。
みかんというよりは、レモンが効いたマーマレードという感じ。
酸っぱさとほろ苦さが強いのですよね。
酸っぱめのみかん、という味でもない。
「みかん」という感じではないなと思いました。
決して美味しくないわけではありません。美味しいです。
家族は「面白いー」と喜んで食べていました。
…その後「でもこれチョコにする意味あるの?」と。
でもチョコレート&オレンジというよくある組み合わせではなく、
みかんそのものをチョコレートにしたというのは面白い発想だと思いました。
試してみる価値はあると思います。
12切れ入り。1切れ約22kcal。
果物をチョコレートにするのはロッテが頑張っていますが、
私にはいまひとつだったので、明治製菓には期待したのですよ。
むー、残念。
次はあっと驚く果物をチョコレートにして欲しいです。
ロッテは「チョコと果実でモーニング」という新作を出しています。
ドライフルーツをチョコレートでコーティングしたもののようです。
食べてみようかな。
★「明治リッチ温州みかんチョコレート」
http://www.meiji.co.jp/catalog/sweets/chocolate/rich_mikan/index.html
★「リッチフルーツチョコレート」「チョコと果実でモーニング」
http://www.lotte.co.jp/products/catalogue/choco/06.html
【食】明治リッチストロベリー グミインチョコレート
2008.04.19(Sat)
明治製菓はグミインチョコレートブーム?
私のお気に入りのチョコレート、
「明治リッチストロベリー」の新作が店頭にあったので、さっそく購入してみました。
「明治リッチストロベリー グミインチョコレート」です。
1つが小さめのビー玉くらいの大きさ。
外側は苺の味の濃厚な、いつものリッチストロベリーチョコレート。
その中心には外側よりもさらに苺味の濃い“結晶グミ”が。
このグミがグミグミしていなくて、シャリっとした感じでちょっと珍しかったです。
まさに“結晶”という感じ。
噛んでチョコとグミを一緒に味わうも良し、
外側を味わってから、最後にグミの甘酸っぱい濃厚な苺味を楽しむも良し。
美味しかったです。
箱が小さいのも良いですね。バッグに入れて携帯できます。
なかなかの新作だと思います。
21粒入り。1粒約11kcal。
この“結晶グミ”、どこかで食べたなと思っていたら、同じく明治製菓でしたよ。
「濃味グミインアポロ」です。
大きめのアポロチョコの中に、カシス、苺、ブルーベリーのミックス味の“結晶グミ”が。
これも美味しかったのですが、1粒が大きいのが難点でした。
★「明治リッチストロベリー グミインチョコレート」
http://www.meiji.co.jp/catalog/sweets/chocolate/rich_stw_gummi/index.html
★「濃味グミインアポロ」
http://www.meiji.co.jp/catalog/sweets/chocolate/apollo_gumi/index.html
【雑誌】『ダ・ヴィンチ 2008年 05月号』 メディアファクトリー
2008.04.15(Tue)
ワンコイン=100円だと思った私って…。
![]() | ダ・ヴィンチ 2008年 05月号 [雑誌] (2008/04/05) 不明 商品詳細を見る |
今月号の目次はこちらからどうぞ。↓
http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php
まず最初に読むのが、『舞姫(テレプシコーラ) 1 (1) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)』。
「ひとみちゃんとも千花ちゃんとも違うバレエを生きたい…」か。
六花がどんな“違う”バレエを見せていってくれるのか、これからが楽しみです。
そして、空美ちゃん復活キタ?!
「特集1 三ツ星☆☆☆ワンコイン文庫」は、
500円玉1枚というワンコイン(100円ではありません…)で手に入る文庫本の特集。
ジャンル別のお薦め文庫本や、文庫本の歴史などぎっしり詰まった内容です。
文庫本にワンコインという言い方は目新しいかも?
「特集2 マンガ大賞2008決定!!」は、
書店員と各界のマンガ読みが選んだ賞のようです。
各賞の作品が紹介されています。
最近単行本マンガを読まなくなってしまった者としては、参考になりました。
創刊号から読んでいる『モーニング2 』から、
『聖☆おにいさん』が特集されていたことが嬉しかったです。
作品のアイディアはどこからきたのかなどの、作者のインタビューが載っています。
『モーニング2』編集長のロングインタビューもあります。月刊化するのですね。
![]() | 聖☆おにいさん 1 (1) (モーニングKC) (2008/01/23) 中村 光 商品詳細を見る |
全体的にコラムが増えていて、読み応えが増したのは嬉しい限り。
特に穂村弘の新連載「短歌ください」は楽しみです。
これまでの『ダ・ヴィンチ』は、
1日で読んでしまえたので、その後はほったらかしでした。
でもリニューアルした今号からは、次の発売日までもちますね。
それぐらい読むところが増えていると思います。
質より量といった感は拭えませんが、リニューアルは成功したと思います。
海外作家や海外作品をもっと取り上げてくれるといいのですが…。
★WEBダ・ヴィンチ
http://web-davinci.jp/index.php
★モーニング2
http://www.e-1day.jp/morning2/magazine/
【本】『土曜日』 イアン・マキューアン著
2008.04.07(Mon)
ああ、恋人よ、せめて我々は
互いに忠実でいよう!
眼前の世界は夢充てる地のごとく
広やかに美しく、新しく見えるけれども、
本当は、喜びも愛も光もなく、
確かさも、平和も、苦痛を和らげるものもない。
我々が立ち尽くす黄昏の平野は
戦闘と敗走の混乱した叫びに満ち、
無知なる軍勢が闇の中でぶつかり合う。
![]() | 土曜日 (Shinchosha CREST BOOKS) (2007/12) イアン・マキューアン 商品詳細を見る |
現代のロンドンに暮らす、優秀な脳神経外科医の男性が主人公。
この主人公の、ある土曜日の1日を描いた内容となっています。
早朝に目覚めたところから、深夜に眠りに入るまでを描いているのですが、
その描写力に圧倒されてしまいました。
作家って凄いな、というのが読後の最初の感想でした。
終始主人公の一人称で語られていくのですが、
仕事のこと、美しく有能な弁護士である妻のこと、
詩作の才能をみせる娘や音楽の才能をみせる息子のこと、彼らとの会話、
手術の話、患者の話、世界情勢や政治について、自分の人生についてなど、
次から次へと溢れるように語られていきながらも無理がなく、
引き込まれてしまいました。
ただ、内容に関してはもうひとつだったかなと。
主人公の1日の心の内側を描くことで、
世界中に大きなショックを与えた9.11のテロ以降の現代を生きる人々が感じるであろう、
幸福や不安や恐怖について述べているのですが、
その代表者として完璧なまでに恵まれている主人公を設定したことについて、
ちょっと違和感を感じたのです。
結局この恵まれた主人公にとっては、どんな災難も高みの見物―、
というようなやっかみの感情を持ってしまったのです。
実際批評家からもこの点はかなり批判されたようです。
でも、あとがきに書かれている著者の言葉によると、
“幸福な主人公”は標準以上の生活を送っている欧米人達の姿を誇張して描いたものだそう。
「満足しきって太った欧米人」の姿を。
だとすると、この小説はかなり皮肉な内容と言える訳です。
世界情勢を心配しながらも、結局は自分の人生のことしか考えていないじゃないか、と。
でも本当に「満足しきって太った欧米人」を皮肉った内容なのか、
テロ以降の現在を生きる人間の不安や恐怖を描いたものなのか、
その両方なのか、
その辺りが私には分からず、その点が内容がもうひとつと感じた理由です。
読後もやもやしてしまいました。
あと芸術が人間の心を動かすものだ、という主張も、
真実だとは思うけれども、多少陳腐に感じたりもしました。
男性はこういうことを考えているのか、という点はとても面白かったです。
【本】『幽霊』 イーディス・ウォートン著
2008.04.04(Fri)
「幽霊が存在するとは思えないが、それでも幽霊は恐ろしい」
![]() | 幽霊 (2007/07) イーディス・ウォートン 商品詳細を見る |
“幽霊”を扱った短篇集です。
『カーフォル』
『祈りの公爵夫人』
『ジョーンズ氏』
『小間使いを呼ぶベル』
『柘榴の種』
『ホルバインにならって』
『万霊節』
以上の7作品が収録されています。
著者はアメリカの上流階級の出身で旅行好き。
晩年はパリに暮らしたそうで、そんな著者の雰囲気そのままの作品でした。
舞台はヨーロッパやアメリカのお屋敷。
ここに幽霊が登場して、ミステリー風に話は進行していきます。
1900年代初頭に発表された作品ばかりなので、
夜も電気が煌々と照る現代とは違う、暗くて静かな静謐感が漂っています。
まさに幽霊登場にうってつけの雰囲気です。
とても品があって端的な語り口に好感を持ちました。
惜しいのはミステリーの謎解きがぼやかされているところ。
それってどういうことだったの?と消化不良のもやもやが残ることが多かったです。
でもこの短篇集が描きたかったことはミステリーでもその謎解きでもなく、
幽霊の存在とそれを感じる人間のこと。
そういう意味では、成功していると思います。
現代の幽霊話やホラー、ミステリーを求める人には向きません。
あくまでも昔の幽霊話の雰囲気を味わう作品集だと思います。
最も印象に残ったのは、『ホルバインにならって』。
かつては社交界の花形であったふたりの物語です。
老いたふたりの再会はとても物哀しく、切なく、
社交界の描写や幽霊の登場のさせ方も効果的で、
幽霊話の範疇を超えた作品になっています。
他の作品も読んでみたいと思いました。『無垢の時代』の著者なのですね。
ダニエル・デイ=ルイス主演で映画化されています。
![]() | エイジ・オブ・イノセンス (2008/01/23) ウィノナ・ライダー、ダニエル・デイ・ルイス 他 商品詳細を見る |
この作品も名作と言われていますね。見なくちゃ。
| Home |



![月刊 flowers (フラワーズ) 2008年 06月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/519uTwja4OL._SL160_.jpg)




![ダ・ヴィンチ 2008年 05月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51W8lqadyxL._SL160_.jpg)









