【本】『幽霊』 イーディス・ウォートン著
2008.04.04(Fri)


「幽霊が存在するとは思えないが、それでも幽霊は恐ろしい」



幽霊幽霊
(2007/07)
イーディス・ウォートン

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“幽霊”を扱った短篇集です。

『カーフォル』
『祈りの公爵夫人』
『ジョーンズ氏』
『小間使いを呼ぶベル』
『柘榴の種』
『ホルバインにならって』
『万霊節』

以上の7作品が収録されています。

著者はアメリカの上流階級の出身で旅行好き。
晩年はパリに暮らしたそうで、そんな著者の雰囲気そのままの作品でした。

舞台はヨーロッパやアメリカのお屋敷。
ここに幽霊が登場して、ミステリー風に話は進行していきます。

1900年代初頭に発表された作品ばかりなので、
夜も電気が煌々と照る現代とは違う、暗くて静かな静謐感が漂っています。
まさに幽霊登場にうってつけの雰囲気です。

とても品があって端的な語り口に好感を持ちました。
惜しいのはミステリーの謎解きがぼやかされているところ。
それってどういうことだったの?と消化不良のもやもやが残ることが多かったです。

でもこの短篇集が描きたかったことはミステリーでもその謎解きでもなく、
幽霊の存在とそれを感じる人間のこと。
そういう意味では、成功していると思います。
現代の幽霊話やホラー、ミステリーを求める人には向きません。
あくまでも昔の幽霊話の雰囲気を味わう作品集だと思います。

最も印象に残ったのは、『ホルバインにならって』。
かつては社交界の花形であったふたりの物語です。
老いたふたりの再会はとても物哀しく、切なく、
社交界の描写や幽霊の登場のさせ方も効果的で、
幽霊話の範疇を超えた作品になっています。


他の作品も読んでみたいと思いました。『無垢の時代』の著者なのですね。
ダニエル・デイ=ルイス主演で映画化されています。

エイジ・オブ・イノセンスエイジ・オブ・イノセンス
(2008/01/23)
ウィノナ・ライダー、ダニエル・デイ・ルイス 他

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この作品も名作と言われていますね。見なくちゃ。