【本】『シャルビューク夫人の肖像』 ジェフリー・フォード著
2008.07.29(Tue)


「あなたは、わたくしの顔を見ずに肖像画を描かねばならないのです」



シャルビューク夫人の肖像 (ランダムハウス講談社 フ 8-1)シャルビューク夫人の肖像 (ランダムハウス講談社 フ 8-1)
(2008/03/01)
ジェフリー フォード

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19世紀末、好景気に沸くアメリカ、ニューヨーク。
肖像画家として成功しているピアンボの元に、新たな依頼が舞い込みます。
依頼主はシャルビューク夫人と名乗り、法外な報酬を約束しますが、
屏風の前から姿を現すことはなく、
自分との会話のみから肖像画を描くようにとピアンボに申し付けます。
承知したピアンボでしたが、彼の周囲に次第に不穏な出来事が起こり始めて―。

作品全体に、ゴシックホラー&ミステリー調の雰囲気が漂います。
姿を現さない謎の女性依頼人、両目が白濁した老執事、
麻薬付けのピアンボの親友の画家、目から血を流して死ぬ奇病、
ピアンボを付け狙う人物。

しかし、単なるミステリー作品として終わってはいません。

シャルビューク夫人はどんな容姿なのか、
ピアンボはどんな絵を描き上げるのか、
奇病やピアンボを危機に陥れる人物は一体誰なのかというミステリーと、
見えないものを描く、ということを通して、
ピアンボが自らの過去を振り返り、
芸術家としての自らを再構築していく過程も同時進行で描かれていたからだと思います。

ただ、読後の感想としては、ミステリー部分の謎解きに無理があったかな、と。
犯人の動機である心の痛みというのが、もうひとつ伝わってこなかったので、
説得力に欠けるというのか…。
こちらの読解力不足なのかもしれませんが。
ピアンボの芸術家としての内面の描写は良かったです。

姿の見えない女性を描く、というアイディアはとても魅力的で、
ページを捲る手が止まりませんでした。
ストーリーを読み進めるのに大変効果的であったと同時に、
芸術家が目に見えない自分の芸術を追い求める姿の比喩でもあったのかなと思いました。

表紙の絵がとても官能的で美しく、作品によく合っていると思いました。
【雑誌】『月刊 flowers (フラワーズ) 2008年 09月号』 小学館
2008.07.26(Sat)


今月号は『7SEEDS』、『町でうわさの天狗の子』と『恋ひうた』かな。

月刊 flowers (フラワーズ) 2008年 09月号 [雑誌]月刊 flowers (フラワーズ) 2008年 09月号 [雑誌]
(2008/07/28)
不明

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今月号の内容はこちらからどうぞ。↓
http://flowers.shogakukan.co.jp/magazine/magazine_76.html


以下感想など。ネタバレを含みますので、ご注意を。

『娚(おとこ)の一生』 西炯子
 …染色家?の祖母から自宅の鍵を貰っていた、
  一流企業勤務で独身30代後半のつぐみ。
  祖母が亡くなった後の家に住み始めますが、
  そこに同じく生前の祖母から鍵を貰っていた中年男性が現れます。
  突然始まった奇妙な同居生活。さあ、どうなる。
  訳ありそうなつぐみの事情に興味が。とりあえず様子見。
 
『7SEEDS』 田村由美
 …くるみを中心に、各キャラクターの内面が描かれます。
  人間関係の不思議さを改めて感じました。他人と付き合うことで、変わるのですよね、人って。
  殺伐とした話が続いていたので、今回の展開は意外であったと同時に、ほっとしました。
  しかし、最後にはまた新たな波乱が起こりそうな不吉な予感が。
  とても良かったです。続きが楽しみ。

『マダムGの館』 グレゴリ青山
 …今回のテーマは「ボリウッド映画(インド映画)」。ちょっと興味があったので、良かったです。
  姫川紅蓮美が再登場。嬉しい。次回も同テーマ。楽しみです。

『幼枕』 奈知未佐子
 …年を取ってもいつも明るく、人から好かれる徳三。
  その理由は、眠ると楽しい夢が見られること。そんな夢を見させているのは―。
  相変わらずほのぼの。いつも通りでした。

『LEGAの13』 やまざき貴子
 …レガーレが恋するアルフォンシーナが潜んでいる尼僧院に問題が。
  コルヴォと共に、尼僧院へと向かったレガーレは、アルフォンシーナと再会します。
  尼僧院を舞台にしたミステリー調。来月号へ続きます。
  書き込みすぎの絵柄はやはり見辛いですが、何とか読めます。

『風光る』 渡辺多恵子
 …失意のまま帰ってくる近藤のために、休息所に深雪太夫を待たせることにした土方。
  なぜだか深雪太夫の動向に目を光らせる土方。
  そして近藤の前で涙を流す深雪太夫の真意は?
  やっとストーリーが進むので、やれやれ、と。
  深雪太夫の涙の訳は、次号へ続く。

『しろくまカフェ』 ヒガアロハ
 …プールに泳ぎに出かけたパンダくんとシロクマさんとキングペンギンさん。
  キングペンギンとコウテイペンギンの名前の由来の話です。
  キングペンギンさん、ちょっとピーコ入ってる?相変わらず癒されますー。

『暁のARIA』 赤石路代
 …笙子が夏生への想いを親に表明。
  ありあと夏生の気持ちを知ったキリちゃんは、果たしてふたりのキューピットとなるのか?
  普通に面白かったです。笙子には幸せになって欲しいのだけれどもなあ…。

『シネマのレシピ』 遠藤佳世
 …今月のテーマは「ドキュメンタリー」。…相変わらずつまらないです。

『坂道のアポロン』 小玉ユキ
 …居候先では見世物扱い、律子には涙を見せられ、自分には居場所がない!と叫ぶ薫。
  そんな薫を教会に連れて行った千太郎は、子供の頃の自分の写真を見せます。
  混血児の自分も居場所がない、とつぶやく千太郎。
  続きが楽しみです。それにしてもどうして昭和設定なのでしょうか。

『アイスフォレスト』 さいとうちほ
 …フリーダンスで会心の演技を見せた雪野とロマンでしたが―。
  上げて落とすとはさすがです。次回どうなるのかが楽しみです。

『夢日記』 紫門ふみ
 …今回は「怖い夢」について。…ページが勿体無いな、と。

『タンタン歳時記』 星野正美
 …今回のテーマは「料理研究家 入江麻木」。
  料理に興味を持った子供の頃に、テレビや雑誌で見た記憶があります。
  本格的な洋風料理を作る人、というイメージでしたが、こういう経歴の持ち主だったとは。
  自叙伝を読んでみたいと思いました。
  
『町でうわさの天狗の子』 岩本ナオ
 …中間テストを前に、赤点と留年の危機に怯える秋姫とタケル。
  学業優秀な瞬がふたりの先生として、試験前の勉強に付き合います。
  前回は微妙な雰囲気になりそうだった秋姫とタケルですが、一転、良い感じです。
  この作品の雰囲気がとても好きです。次回も楽しみ。

『女神様と私 天空の近くに』 波津彬子
 …ライラの飼い主、イーディスの兄、マーカスが主人公。
  これまでの経歴と、現在のイーディスやグレイ教授が登場。
  どうやらマーカスもライラのお眼鏡にかなったようです。
  良くも悪くも相変わらずの世界でした。

『横浜迷宮vol.4 コインの行方』 よしまさこ
 …約束の日、約束の場所に現れた沙々子は、手の中のコインを見つめます。
  どうもこの作家は絵柄といい内容といい、劣化版大島弓子という印象を拭えません。
  別の雑誌の方が合っているかも。
  
『恋ひうた』 江平洋巳
 …世間ずれせず純粋無垢な女性のように思っていた彰子の違う面が見え始める予感。
  他にも道貞との新婚時代、紫式部や清少納言との関係が出てきます。
  “女の業”を必要以上に出さないでくれることを祈ります。
  初めてこの人の作品を読めそうなので。

『道行き』 絹田村子
 …22歳の新人さんのデビュー作。
  田舎の祖母の家に気の進まぬまま出かけた大学生の倫幸。
  ところが歩いても歩いても祖母の家は見つからず―。
  夏と狐と幽霊のお話。よくある内容で目新しさはなし。絵も普通。
  うーん、これといった特徴がないので、正直微妙。
  

今月号はなかなか読み応えがありました。
『7SEEDS』、『町でうわさの天狗の子』と『恋ひうた』が、
前回までとは少し雰囲気が変わっていたのが印象的でした。

あと、萩尾望都さんの名作『マージナル』舞台化記念のページも興味深かったです。
『マージナル』のイマジネーションの起源について、萩尾さんが語っています。少しだけですが。
グリンジャが好きなのですよ。理想のタイプ。

マージナル (1) (小学館文庫)マージナル (1) (小学館文庫)
(1999/07)
萩尾 望都

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次号予告はこちらからどうぞ。↓
http://flowers.shogakukan.co.jp/magazine/magazine_166.html

次号は8月28日(木)ごろ発売。
吉田秋生の『海街dairy』が何といっても楽しみです。
三姉妹の母が登場する模様。

★月刊 flowers (フラワーズ)
http://flowers.shogakukan.co.jp/fla_top01.html
【雑誌】『ku:nel (クウネル) 2008年 09月号』 マガジンハウス
2008.07.24(Thu)


庭にあるものすべてうつくし(Everything in the garden is lovely)



「イギリスの庭」の写真が美しくてうっとり…。

ku:nel (クウネル) 2008年 09月号 [雑誌]ku:nel (クウネル) 2008年 09月号 [雑誌]
(2008/07/19)
不明

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今号は巻頭特集の「みどりのゆびをさがして イギリスの庭」だけで十分でした。
ページ全体を使って見開きいっぱいに絵画のような写真が連発。
草いきれが伝わってくるような、素晴らしさです。
特に、「バーンズリーハウスの金ぐさりの小道」の写真!!
金ぐさりというミモザが垂れ下がったような花で出来た黄金色の花のトンネルなのですが、
息を呑みました。

その後に続くコラムの内容も良かったです。
特に印象に残ったのは、「イエローブック」の存在でした。
英国全土よりすぐりの個人庭のオープンデーが記載されたガイドブックで、
愛好家達はこの本を手引きに庭めぐりを楽しむそう。
この「イエローブック」の発行元はチャリティ財団であり、
庭の入場料はすべて慈善活動に寄付されるそうです。

見せる人は庭を美しく育てることで社会貢献ができ、
見る人は庭を見ることで慈善活動に協力することになる―。
大人ななシステムだなと驚きました。
取材班は庭をめぐっては、その庭の主人や謂れについて書いています。
バラも登場しますよ。
とても良かったです。写真を見、コラムを読むだけで癒されました。

その他で印象に残った内容は、
「ほしよりこがえらんだ、夏に聴きたいクリスマスソング」
季節を問わずクリスマスソングを聴くのが好きな私には、ストライクなコラムでした。
知らない歌手やバンドが紹介されていたので、参考になりました。

あと、「骨の髄まで、松山の鯛めし。」
愛媛県は全国一の真鯛の漁獲量なのだそうで。
大屋さんの鯛めしと、今井さんの鯛めしの作り方が紹介されています。
一度は作ってみたい鯛めし。挑戦してみようかな。

今号はとにかくイギリスの庭の写真に尽きます。
この夏の暑さを、しばし忘れることが出来ました。

★ku:nel(クウネル)公式サイト
http://magazineworld.jp/html/kunel/
【雑誌】『モーニング2 2008年 09月号』 講談社
2008.07.23(Wed)


来月号からは立ち読みで済ませようかと。

target="_blank">モーニング2 2008年 09月号 [雑誌]


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今月号の目次はこちらからどうぞ。↓
http://www.e-1day.jp/morning2/magazine/

感想なぞ。ネタバレを含みます。

『聖☆おにいさん』 中村光
 …あまりの暑さに、ファミレスに避暑に行くブッダとイエス。
  巻頭カラーページあり。相変わらずの安定した面白さでした。

『ぺんたくん』 とりのなん子
 …小学生のたかしの家にやってきた、ペンギン型ロボット「ぺんたくん」の話。
  ぺんたくんが普通に可愛かったですが、こんなロボットは実現不可能という点で醒めます。
  話自体もよくある内容で、楽しいですが、何も残りません。

『ペンギン打ち合わせ』 こなみかなた
 …ペンギン姿の作者と担当者との会話4コマ漫画が3本。
  ペンギンは卵を守るために下腹の中に卵を入れますが、
  あれは羽ではなくて脂肪だったのか…ということ以外は、箸にも棒にも…という内容でした。

『天才柳沢教授がおじゃまするペンギンの生活(後編)』 山下和美
 …柳沢教授が長崎の「長崎ペンギン水族館」を訪れます。
  『天才柳沢教授の生活』を読んでみたかった者としては、教授の登場は嬉しかったです。
  いつもあんな線目なのでしょうか?
  ペンギンの生態、ペンギンに対する水族館の姿勢などがよく分かって、良かったです。
  ペンギンが絶滅の危機に瀕しているとは知りませんでした…。

『ファンタジウム』 杉本亜未
 …次々と仕事の依頼が舞い込むようになった中、
  マジシャンでありたいという良の為に芸能プロダクションからの誘いは断ってきた北條。
  しかし良の資質を見込んだ大手芸能プロマネージャーの真摯な言葉に、
  北條の心は揺れます―。
  良かったです。続きが楽しみ。

  ★ファンブログ「長見良の魔法世界へようこそ」
  http://ryomagic.com/
  
『ポテン生活』 木下晋也
 …化けるのか化けないのか微妙な雰囲気が味な8コマ漫画。本当に「微妙」。

『COPPERS』 オノ・ナツメ
 …前回出てきた飛び降り自殺を予告しながら常に飛び降りない男と、
  彼に煩わされ続けてきたESU(緊急出動部隊)隊員との話。
  良かったです。何気にピポチューが出てくるのですが、これはやめて欲しかった…。
  
『PEEPOCHOO[ピポチュー]』 フェリーペ・スミス
 …新宿のヤクザ2人組の過去と、
  日本の漫画&アニメオタクとアメコミオタクのアメリカ人オタク同士の罵り合いが見られます。
  暴力、流血、巨乳、気持ちの悪いダンスに日本語…。
  気分が悪くなるだけで、全く面白くありませんでした。
  無理して日本を関係させることはないのに。
  
『刻刻』 堀尾省太
 …全く面白くありませんでした、その2。樹里と何か曰くがありそうな美少年登場。
  しかし作品の世界についての説明がほとんどないので、読んでいても入っていけません。
  ページの柱に解説を乗せるようではね。
  絵柄も魅力に欠けますし、この作品を理解したいとも、続きを読みたいとも思えません。

『いったり・きたり』 鈴屋あやめ
 …全く面白くありませんでした、その3。
  相変わらずのつまらない女の下らない愚痴漫画。
  下手すぎる絵と変わり映えしない内容が非常に不愉快です。

『むさしのジョギング日記』 西島大介
 …全く面白くありませんでした、その4。
  XJapanオタクである作者の、hideメモリアルサミット体験記。
  こういう内輪話は、ファン向けの同人誌に書いて下さい。
  一般誌に掲載する以上は、取り上げた特定のバンドに関心のない人でも、 
  何かしら感じられるものがある内容にして欲しいです。
  山下和美のペンギン水族館の作品を1000回読むべし。
 
『超絶変身!!アースカイザー』  くぼたまこと
 …人間社会で普通に暮らしている悪の組織の連中の話です。
  この作品が気の毒なのは、『聖☆おにいさん』と設定が同じであること。
  しかもブッダとイエスの方が面白い…。
  決して嫌いな作品ではないので、何か変化をつけて頑張って欲しいと思っています。

『変ゼミ』  TAGRO
 …相変わらず不愉快。絵は可愛いのになあ…。

『羣青』 中村珍
 …事件が起きる直前までを描いた番外編の後編。嵐の前の静けさ?
  最後の大ゴマが次を期待させて良かったです。
  
『TRIBAL GEAR』  和泉雄己
 …絵のタッチが変わった?相変わらずの綺麗な絵ですが、内容が意味不明なのも相変わらず。
  魅力的な絵だけに、ストーリーの分かり辛さは本当に惜しいです。

『荒呼吸〜女の危機管理〜』  松本英子
 …猫話。この人の猫話漫画はとても好きです。
  今回も最後のコマがたまりませんでした。良かったです。

  ★公式ブログ「無償の悪」
  http://d.hatena.ne.jp/okitsune/



今月号は、中間部の“全く面白くありませんでした作品”の怒涛の4連発が圧巻でした。
こんなにも内容の薄い作品を掲載するとは、月刊化は失敗だったかも。

また今月号はペンギン大特集号でもありました。
表紙は勿論、巻頭には漫画家60人によるそれぞれのペンギンカラーイラストが。
その後の掲載作品中にもペンギンが登場、
ページの柱にもペンギンに関する話や情報がぎっしり。
なぜこんなことをする必要が?

とにかく内容の薄さが残念でした。
来月号からは立ち読みで済ませようと思います。

…でも次号は2周年記念号なのか…。何かやるそうです。
次号は8月22日(金)発売。

★モーニング2
http://www.e-1day.jp/morning2/magazine/
【本】『ニューヨーク・チルドレン』 クレア・メスード著
2008.07.22(Tue)


王様の子どもたちはみな裸



ニューヨーク・チルドレンニューヨーク・チルドレン
(2008/03)
クレア・メスード

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現代のニューヨークが舞台の群像劇。
テレビ番組女性プロデューサーのダニエール、天真爛漫な美女マリーナ、
フリーライターでゲイの男性ジュリアスは、大学時代からの親友同士。
30歳になる現在も、仲の良い関係を続けています。
そこへオーストラリア人の雑誌編集者と、
田舎から出てきたマリーナの従兄弟である若者が現れたことで、
3人の友情関係に変化が訪れます―。

野心を持った者が集まる大都会ニューヨークでの、
3人それぞれの悩み、友情、仕事、恋愛と、
彼らを取り巻く周囲の人々の夫婦関係、親子関係、家族関係、について描かれています。

登場人物たちが次第に裸にされていく著者の描写はなかなかのものでしたし、
主役の3人と彼らの周囲の人々との絡みが様々な組み合わせで起こるので、
一気に読むことが出来ました。

ただ、登場人物達の苦悩が払拭されるきっかけになるのが、
9.11のテロ事件だというのが、どうなのかなあ、と。
ちょっと都合が良すぎないかなと思ってしまいました。

でも実際にあったことですし、
作品の中では大変効果的に使われてはいるのですが…。むー。

最後の締めくくり方といい、
人々の苦悩と再生の物語、といったところでしょうか。

読んでいる間は面白かったです。
今時のニューヨークの30歳はこんな感じなのかなというリアルさがありましたし、
ぐいぐいと読む進むことは出来ました。
でも、何が残ったかと言われると…。

2006年度ブッカー賞候補作。
【本】『ぜつぼう』 本谷有希子著
2008.07.09(Wed)


俺の苦しみは本当だ。



ぜつぼうぜつぼう
(2006/04/28)
本谷 有希子

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主人公はかつて国民的人気者となったお笑い芸人、戸越。
ブームが去ると共に、手の平を返したような態度を取った仕事仲間や関係者達。
街に出れば顔は忘れられておらず、
帽子で隠せば「まだ人気があると思ってるの?」と一般人に嘲笑われる始末。
人間不信に陥り、引き篭もり状態の戸越の前に、
復讐させてやるからそれまで自分の家に住んでいろ、という中年男性が現れます。
向かった家は田舎の汚い一軒家。そしてそこにはひとりの女性が―。

主人公の絶望感の描写が、非常にリアルだと思いました。
変にプライドが高かったり、自意識過剰気味だったりするところなど。
現代の若者の心理が生々しく伝わってきました。

自分は本当に絶望しているのだと、
分かってもらおうとする辺りの心理描写は秀逸だと思いました。
そして、再生し始めるシーンも。

純文学ほど重すぎず、ライトノベルのように軽すぎないという匙加減も良かったです。
いや良かったですどころか、そこが大変魅力的だと思いました。
「今」を書くことの出来る作家、かな。
他の作品も読んでみたいです。
【雑誌】『ダ・ヴィンチ 2008年 08月号』 メディアファクトリー
2008.07.05(Sat)


今月号は、私の興味・関心とはすれ違いました。

ダ・ヴィンチ 2008年 08月号 [雑誌]ダ・ヴィンチ 2008年 08月号 [雑誌]
(2008/07/05)
不明

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今月号の目次はこちらからどうぞ。↓
http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

まずは山岸凉子『舞姫(テレプシコ−ラ)』
自分の気の弱さ、真剣味のなさに気づく六花。
あとはコンクール前に六花が受けた、コンテンポラリーダンスのレッスン内容の詳しい描写。
クラシックとコンテンポラリーの体の動かし方や呼吸の違いなどが分かって、面白かったです。
六花を通して、ローザンヌコンクールを体験しているようで、楽しいです。

山岸凉子バレエマンガセット【ヴィリ+テレプシコーラ第1部全10巻】Amazon.co.jp限定サイン入りポストカード付山岸凉子バレエマンガセット【ヴィリ+テレプシコーラ第1部全10巻】Amazon.co.jp限定サイン入りポストカード付
(2007/11/30)
山岸凉子

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特集1は「ときめくTEAM男子!」

TEAM! チーム男子を語ろう朝まで!TEAM! チーム男子を語ろう朝まで!
(2008/02/21)
チームケイティーズ

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男子の集団にときめく、という内容です。
私の興味範囲外なので、読み飛ばしていましたが、
福田美香×カトリーヌあやこ×能町みねこ×金田淳子の対談が所々面白かったです。
様々な“チーム男子”について解説してくれていて、その分類に、なるほどねーと。
特に、「鉄道路線擬人化」!
少しばかりてっちゃん気味の私には、激しく萌えるものがありました。
「まあいいじゃないか東海道」@キザな上越新幹線 …萌え。
欲しいな、この同人誌…。

あとは、穂村弘の「短歌ください」
読者からの短歌作品を掲載しながら解説するのですが、相変わらず良かったです。

新潮社の“2008 新潮文庫の100冊”フェアで、対象文庫本を2冊購入すると、
Yonda?のエコバッグが必ずもらえる、ということを知ることが出来たのは良かったです。
★Yonda?のエコバッグ
http://100satsu.com/mascot/
可愛い。毎年夏の100冊フェアは無視していましたが、今年は買ってしまうかも。

「100冊ビューワー」で100冊すべてを紹介したり、
「自分の本棚」では読んだ本をウェブ上の本棚に並べて、
感想のスタンプが押せるようになっていたり、
他の人の本棚も見ることができたりなど、なかなか凝ったサイトになっていますね。
新潮社すごいです。

★2008 新潮文庫の100冊
http://100satsu.com/

これら以外はあまり目を惹くものがありませんでした。
8月号ということで、怪談ものが多かったことも残念。
苦手なのですよ。

★WEBダ・ヴィンチ
http://web-davinci.jp/index.php
【本】『エトルリアの微笑み』 ホセ・ルイス・サンペドロ著
2008.07.02(Wed)


「おまえの名前は、ブルネッティーノ、いずれブルーノになる……」



エトルリアの微笑みエトルリアの微笑み
(2007/10)
ホセ・ルイス・サンペドロ

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舞台はイタリア。
病気検査のため、都会の息子夫婦の家に住むことになった老人。
老人は第二次世界大戦中パルチザンとして活躍した、典型的なイタリア男性。
女性を愛し、仲間を愛し、出身地を愛する昔気質な男。
そんな老人は都会での生活が我慢なりません。
ところが、息子夫婦の家で1歳の孫息子と初対面してから、老人の心に変化が現れます―。

はっきり言ってしまうと、よくある“頑固爺さん物語”です。
でもそんなよくある話とは一線を画している点があり、そこがこの作品の魅力だと思いました。

それは、年を取ってなお、自分にはまだ学ぶことがあるのだ!ということを、
この老人が驚きつつも喜んで受け入れているところです。
単なる“頑固爺さん”ではないのです。

都会の生活習慣や、味気ない食べ物など何もかもに毒づきながらも、
女性はしっかりエロティックな視点で眺め、優しく接し、
孫の仕草ひとつひとつに目を見張り、舐めるように溺愛する老人。
そんな頑固爺さんの姿がとても魅力的です。

特に、オルテンシアという女性と知り合ったことで、
女性を真に愛するとはどんなことなのかということを知る辺りは、
私自身が女性であることもあって大変印象的でした。

このオルテンシアという登場人物には惹きつけられました。
穏やかで優しく、愛情深い―。
こういう女性になりたいなと思わされました。

頑固爺さんの心に柔軟さと希望を与えたのは、
パルチザン時代の自分の呼び名と同じ名前を持った孫。
そんな老人に惹かれ、最後の時間を優しく包み込んだ女性。
“エトルリアの微笑み”の理由を理解することが出来た人生。
幸せな人だなと思いました。
読後感が良かったです。