【本】『ぜつぼう』 本谷有希子著
2008.07.09(Wed)


俺の苦しみは本当だ。



ぜつぼうぜつぼう
(2006/04/28)
本谷 有希子

商品詳細を見る


主人公はかつて国民的人気者となったお笑い芸人、戸越。
ブームが去ると共に、手の平を返したような態度を取った仕事仲間や関係者達。
街に出れば顔は忘れられておらず、
帽子で隠せば「まだ人気があると思ってるの?」と一般人に嘲笑われる始末。
人間不信に陥り、引き篭もり状態の戸越の前に、
復讐させてやるからそれまで自分の家に住んでいろ、という中年男性が現れます。
向かった家は田舎の汚い一軒家。そしてそこにはひとりの女性が―。

主人公の絶望感の描写が、非常にリアルだと思いました。
変にプライドが高かったり、自意識過剰気味だったりするところなど。
現代の若者の心理が生々しく伝わってきました。

自分は本当に絶望しているのだと、
分かってもらおうとする辺りの心理描写は秀逸だと思いました。
そして、再生し始めるシーンも。

純文学ほど重すぎず、ライトノベルのように軽すぎないという匙加減も良かったです。
いや良かったですどころか、そこが大変魅力的だと思いました。
「今」を書くことの出来る作家、かな。
他の作品も読んでみたいです。