【本】『怪人エルキュールの数奇な愛の物語』 カール=ヨーハン・ヴァルグレン著
2008.02.06(Wed)
僕はもう何もいらない 彼女にもう一度逢えるなら
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19世紀初頭のドイツ。
吹雪の晩の娼館で、ふたりの娼婦からふたりの赤子が同時に生まれた。
ひとりは天使のような子供に育つ女児ヘンリエッテ。
もうひとりは思わず目を背けてしまう異形の姿を持つ男児エルキュール。
ふたりは双子のように仲睦まじく育つものの、
ある事件によって10歳の時に離れ離れとなってしまう。
そしてエルキュールは、鎖につながれた地下牢で目を覚ます―。
簡単に言ってしまえば、
ハンディキャップを負った少年が、艱難辛苦の果てに幸せを掴む物語です。
エルキュールは醜い容貌だけでなく、
両手を使えず、耳が聞こえず、言葉を発することも出来ません。
しかし人の心を読み、人の心の中に直接語りかける、という能力を持っていました。
この力を武器として、離れてしまったヘンリエッタを探すことのみを希望とし、
どれだけ苦しい状況に追い込まれても、エルキュールは生き抜いていこうとするのです。
…うーむ、私はこの小説は全くダメでした。
世紀末、娼婦、娼館、殺人、精神病院、見世物小屋、キリスト教結社など、
ダークな舞台装置を引っかき集めているのですが、薄っぺらいのです。
致命的だったのは、エルキュールの苦しみというものが伝わってこなかったこと。
また、血の滲むような努力、というものもない。
ラッキーなのですよ、ひたすら。
努力はしているのだけれど、そこをあっさりと描かれてしまうので、
結局エルキュールは容貌だけがハンディキャップであって、
それ以外は頭も良いし、特殊な才能はあるし、強運だしで、なんだかな、と。
おまけにエルキュール以外の人間の扱いが酷いので、
なおさら浮いてしまうのですよね。
スウェーデンで大ベストセラーになったということで読んでみましたが…。
北欧の国の暗い光の下でなら、雰囲気が合っていていいのかな。
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